AIRDOが中期戦略、機材更新で競争力維持

2019/5/30 19:48
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AIRDO(札幌市)は30日、2019~23年度の中期経営戦略を発表した。創業以来初となる機材更新で競争力を維持する一方、運休につながったほどの人手不足に苦しんだ教訓からパイロットの育成にも本腰を入れる。最終年度の利益目標は、中期戦略としては異例の横ばい。国内線の路線網拡充や悲願の国際線就航に向け、持久戦が続く。

新経営戦略を説明する浦沢執行役員(左)(30日、札幌市内)

同日、札幌市内で記者会見した浦沢英史執行役員は「新たな20年を切り開くために足場を固める」と強調した。6月下旬に谷寧久社長が退任し、草野晋副社長が社長に昇格する人事を内定している。4年ぶりに誕生する新トップだが、相次ぎ新規路線を開設する格安航空会社(LCC)などとの競争に直面しそうだ。

この日発表した19年3月期の営業収入(売上高)は448億円(前の期比5%減)、税引き利益は11億円(同0.5%減)と減収減益だった。主力の東京路線をはじめ主要路線の座席利用率は軒並み前年を上回ったが、17年から18年にかけて札幌―岡山、札幌―広島線を廃止したことなどで提供座席数が6%減った。

訪日外国人客の急増で新千歳空港もここ数年は新規路線の開設ラッシュに沸いてきた。LCCでは東南アジア資本のエアアジアグループや春秋航空(中国)が相次いで就航。日本航空(JAL)とANAホールディングスを相手にしていればよかった創業当時から競争環境は激変している。

中期戦略は23年度の売上高を開示していないが、税引き利益は11億円と前期比横ばいの水準にとどまる。未体験の機材更新も収益を圧迫する。メイン路線の新千歳―羽田線の旅客需要を踏まえれば250~300席の中型機を導入したいが、ボーイング社のラインアップに見合う機材はない。

導入する機材はボーイングが開発を検討している低価格の中型機も視野に入れている。現行のボーイング「767」は順次退役させ、4年後までに新機材を導入する方針。旅客機は離着陸を5万回繰り返すと大幅な改修が必要で、実質的な寿命を迎える。就航から20年を迎え、3月に導入した機材を除けば4機は老朽化が進んでいる。

同社は9月にも新たな767型機を導入。旧機材が順次退役していけば、中型機は一時的に2機となる可能性がある。輸送力が一時的に大きく落ち込むのも避けられず、今後5年間は苦しい経営を強いられそうだ。

                  ◇

30日に札幌市内で開いたAIRDOの中期経営戦略発表には当初、自ら説明する予定だった草野晋次期社長が前日になって「所用があるため」(広報担当)として出席をキャンセル。新トップとしての対外デビューはお預けになった。中期戦略は浦沢英史執行役員らが淡々と概要を説明した。

4年ぶりに誕生する新体制のキックオフとしては地味だった印象が否めない。とはいえ、新たな中期戦略は営業・企画部門を統括する草野氏が中心となってまとめた。機材更新は就航20年で初めての経験となる。

現社長の谷氏は国土交通省航空局出身で航空安全のエキスパート。15年に同社社長に就任して以来、安全対策の強化に力を注いできた。草野氏は日本政策投資銀行で取締役を務め、プロジェクトファイナンスや都市開発を担当した経歴を持つ。

同社は安全運航の徹底にはめどをつけたとみており、草野新体制で機材更新という難路に挑む。(山中博文)

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