2019年7月23日(火)

JR九州と第一交通、初の包括的業務提携

サービス・食品
九州・沖縄
2019/5/30 18:30
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JR九州第一交通産業は30日、鉄道とタクシーを組み合わせた交通サービスの提供で包括的な業務提携契約を締結し、正式に発表した。今後、両社のスマホ予約アプリの連携などで次世代移動サービス「MaaS(マース)」の実現に向けて取り組む。過疎地や災害時の輸送などでも幅広い協力関係を探り、人口減や高齢化の進む九州で公共交通の利便性を高める。

JR九州の青柳社長(左)と第一交通の田中社長

両社とも他の交通事業者と包括的な提携を結ぶのは初めて。第1弾として6~8月に福岡・熊本・鹿児島地区でJR九州の予約サイトを使った販促をする。同サイトで列車を予約し、決済登録したJR九州のICカード「SUGOCA(スゴカ)」を使って第一交通のタクシーに乗った人を対象に、抽選でポイントを付与する。

今後は両社間のプロジェクトチームを通じ、提携サービスの開発を進める。当面は予約アプリの連携などを検討する。10月にも国のルール改定でタクシー運賃の事前確定制度が始まれば、鉄道移動からタクシー乗車、宿泊先などを一括決済できるシステムを構築する。

同日の記者会見でJR九州の青柳俊彦社長は「提携の覚書には何でもやると書いた。交通空白地域や観光地を含め、いろいろな提案ができる」と話した。第一交通産業の田中亮一郎社長も「訪日外国人が増え、高齢化も加速する中で、大量輸送のJRと小口運送の当社が組めば、多くの課題に対応できる」と期待を込めた。

沖縄県でもJR九州がホテル、第一交通がバスなどを展開。九州・沖縄を地盤とする交通大手同士の包括提携は、鉄道やバス、タクシーの枠組みを超えた国内公共交通の新たな戦略として、利用者の支持をどこまで獲得できるか注目される。

JR九州の青柳俊彦社長、第一交通産業の田中亮一郎社長は30日、北九州市の第一交通産業本社で記者会見した。主な一問一答は以下の通り。

――提携の経緯は。

青柳氏「2019~21年度の中期経営計画を議論する中、じっとしていると鉄道の価値はなくなるんじゃないか、いろいろな交通事業者と連携して地域交通の役割を果たそうとなった。第一交通にはかつての国鉄民営化の際に社員を受け入れていただいた。田中社長とは経済団体の会合などでよく意見交換してきた」

田中氏「昨年秋ごろから両社の若手プロジェクトでやりたいことを探してきた。九州全体の観光客、訪日外国人が増え、高齢化も加速する中で大量輸送のJRと小口運送の当社が組めば多くの課題に対応できる。宮崎県の無人駅改札を一部任せていただくなど以前からの縁もあった」

――提携で日田彦山線の復旧、路線ダイヤの補完など社会的課題にも取り組みますか。

青柳氏「覚書には何でもやると書いており、もっと踏み込んだ仕事を提供する。第一交通は配車アプリ、キャッシュレス、乗合タクシーなど次々始めている。提携効果は非常に期待している。日田彦山線の自治体協議ではバスについても述べさせていただいた。都市型の交通空白地や観光地を含め、いろんな提案が可能になると思う」

田中氏「タクシー業界を挙げて全国で交通空白地を埋め合わせてきた。自動車メーカーの提携戦略と同じく、タクシーだけでは交通サービスや技術、利用者の変化に追いつけない。災害時に鉄道をカバーするなど一時的な対応も含め、街が活性化することに取り組む」

(山根清志、鳥越ゆかり)

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