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欧州銀、描けぬ稼ぐ力の回復 リストラで財務は改善

2019/5/31 1:31
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【ロンドン=篠崎健太】欧州の銀行が収益回復への道筋を描けないでいる。財政問題がくすぶる南欧地域を含め、多くの大手行が自己資本比率など財務状況を改善させたものの、リストラが一巡した後に稼ぐ力をどう伸ばすのか展望が開けない。大衆迎合主義(ポピュリズム)の広がりや景気低迷で欧州の政治・経済は揺れており、金融リスクが改めて意識される展開となる恐れが残る。

イタリア大手銀ウニクレディトは7日、傘下のオンライン銀行フィネコの株式のうち17%分を売り、連結対象から外すと発表した。約10億ユーロ(約1220億円)を手にし、普通株など狭義の中核的自己資本(CET1)比率は4~6月期に約0.2ポイント上がる見込みだ。

「貸し出し余力をさらに高めるのが目標だ」。ジャンピエール・ムスティエ最高経営責任者(CEO)はこう説明する。3月末のCET1比率は12.25%と、5年前より3ポイント近く上昇。金利が乱高下した伊国債の圧縮なども進める方針だ。

2010年以降の欧州債務危機を経て、欧州の銀行は財務リストラを進めてきた。欧州銀行監督機構(EBA)によると、18年末時点のCET1比率は平均14.4%と、15年末より1.5ポイント高い。経営再建中のドイツ銀行も増資や事業売却で14%弱となり、主要行の多くが12%以上だ。

国際的な自己資本規制「バーゼル3」では国際基準行の最低ラインを4.5%としたうえで経済ショックを吸収できるよう2.5%の上積みを求めるなど、銀行の活動内容に応じて自己資本の充実を義務付けている。欧州の大手行は見かけ上、こうした健全性の基準を十分満たす水準にある。

もっとも、先行きは厳しい。これまでの自己資本比率の改善は資産売却など「分母」の縮小による面が大きいからだ。収益力を高めなければ縮小均衡に陥る。得意な地域や分野が明確な例は少なく、多くは長引く低金利や厳しい競争を乗り越える次の一手が描けない。

特に域内の景気減速や低金利のあおりで、19年1~3月期決算では投資銀行部門の不振が目立った。英バークレイズは最終黒字に転じた一方、投資銀行部門の税引き前利益は8億2700万ポンド(約1140億円)と前年同期より3割減った。企業助言などの利益が落ち込んだためだ。スイスのUBSとクレディ・スイスも株式や債券の引受手数料が2ケタ減だ。

欧州の銀行では投資銀行部門が全体の利益の2~3割を占めることが多い。だが域内企業の景況感が陰り、調査会社リフィニティブによると、欧州企業を対象にしたM&A(合併・買収)は1~3月期に1120億ドルと前年同期比約7割減。米州企業が対象の案件が5552億ドルと3%増えたのとは対照的だ。

仏ソシエテ・ジェネラルの投資銀行部門の利益水準は4年前の4分の1程度だ。個人向け金融サービスに注力する構えだが、地盤の仏事業は収入の減少傾向が続く。

物言う株主のエドワード・ブラムソン氏はバークレイズに投資銀部門の縮小を繰り返し要求している。欧州の主要600社でつくる株価指数「ストックス600」が18年末から29日まで10%上げたのに対し、ストックスの銀行株指数は横ばい。債券市場は財務改善に一定の評価を下す半面、利益の伸びをみる株式市場の見方は辛い。

生き残りに向けた再編も進まない。ドイツ銀行とコメルツ銀行の統合交渉は破談になった。英国の欧州連合(EU)離脱問題は混迷が深まり、けん引役のドイツも製造業が低迷、低成長のイタリアは政局も不安定だ。政治や経済にショックが走り、持ち直してきた大手銀の財務体力への懸念が再燃する――。欧州にはそんなリスクが漂う。

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