19年度の実質成長率は0.5%、20年度は0.7%成長 NEEDS予測
海外からの逆風受け、減速する日本経済

2019/5/30 16:11
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日本経済新聞社の総合経済データバンク「NEEDS」の日本経済モデルに、内閣府が5月20日に公表した2019年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値を織り込んだ予測によると、19年度の実質成長率は0.5%、20年度は0.7%の見通しになった。

中国経済の減速や米中貿易摩擦の長期化・深刻化で、日本経済への海外からの逆風が強まっている。19年度は輸出が減少し景気は減速する。ただ、各国の経済政策が下支えすることで世界経済は次第に回復へ向かい、日本の景気も20年度は持ち直す見込みだ。

■前期比0.5%増――19年1~3月期

19年1~3月期の実質GDPは前期比0.5%増(年率換算で2.1%増)と、2四半期連続のプラス成長だった。しかし、民間最終消費支出(個人消費)と設備投資が前期より減少し、民間需要の弱さが目立つ内容だった。

輸出も前期比2.4%減少したが、輸入が同4.6%減とそれ以上に落ち込んだ結果、外需が成長率を0.4ポイント押し上げた。輸入の落ち込みは国内需要の減少を映しているとみられ、足元の景気には陰りが見える。

■遅れる輸出の回復

日銀が5月22日に発表した4月の実質輸出は前月比1.4%増だったが、水準としては18年度平均をわずかに上回る程度だった。19年4~6月期のGDPベースの実質輸出は前期比0.3%増と、前期の同2.4%減からの回復としては弱いものにとどまるとみている。

中国では4月の経済指標の伸びが軒並み鈍化した。追い打ちをかけるように、米国は5月10日に2000億ドル分の中国製品に対する関税を10%から25%に引き上げた。米中の貿易摩擦の長期化・深刻化で日本の輸出回復も遅れ、19年度のGDPベースの実質輸出は前年度比0.8%減となる見通しだ。

ただ、世界経済が大きく失速する事態は回避できるとみている。米中の貿易交渉は19年中に妥結し、5月の追加関税は撤廃されると見込む。中国政府は大規模な経済対策を実施し、米連邦準備理事会(FRB)も年内に利下げに踏み切ると想定している。日本のGDPベースの実質輸出は20年度に持ち直し、前年度比2.3%増になると予測する。

■勢い鈍る設備投資

企業の設備投資は、非製造業を中心に人手不足に対応した合理化・省力化投資やソフトウエア投資などが堅調に推移する見通しだ。しかし、中国経済の減速による輸出の伸び悩みなどで製造業を中心に企業収益が悪化し、設備投資の伸びを抑える。

GDPベースの設備投資は、19年度は前年度比1.2%増、20年度は同1.0%増と、低い伸びにとどまる。

■個人消費は雇用環境が下支え

1~3月期の個人消費は耐久財などが低迷したが、消費増税を控えていることもあり4月以降は持ち直すとみている。4月の国内乗用車販売台数(軽を含む)はNEEDS算出の季節調整値で前月比12.9%増と3カ月ぶりに増加した。4~6月期の個人消費は前期比0.4%の増加となる見通し。

消費者態度指数が7カ月連続で低下したにもかかわらず、個人消費が大きく落ち込まないのは、良好な雇用環境が消費を下支えするためだ。厚生労働省が4月26日に発表した3月の有効求人倍率(季調値)は1.63倍と高い水準を維持している。個人消費は19年度に前年度比0.5%増、20年度は同0.6%増となる見通しだ。

なお、今回のNEEDS予測は、日本経済研究センターが19年5月に公表した短期予測をベースにしている。

(日本経済研究センター 山崎理絵子、デジタル事業 情報サービスユニット 渡部肇)

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