レオパレス外部調査委「複数の人が関与し組織的」

賃貸アパート大手レオパレス21の施工不良問題を巡って、29日に最終報告書を公表した外部調査委員会の記者会見での主なやりとりは次の通り。
――最終報告書のなかで深山英世現社長の責任について言及がなかったのはなぜか。
伊藤鉄男弁護士「今回の施工不備は今から20~25年前に行われたもの。ただ、品質問題に敏感に反応して解決する機会はあった。チャンスを逃したことは残念だし、責任がある。今の経営陣に責任がないと考えているわけではない」
木目田裕弁護士「もっと早期に気付くべきポイントは複数あった。結局は『事なかれ主義』ゆえに、リスク管理能力が足りず、早期に対応する機会を逸してしまった。それは深山現社長を含めて歴代の経営陣の責任、落ち度であると考えている」
――報告書では「全社的に事実に反する建築確認申請を行わせ、確認済証をだまし取った」との指摘があるが、組織的なのか。
木目田氏「当時、創業者の社長と一緒になって商品を開発していたので、そこだけを捉えて組織的と言っていいのか分からない。ただ複数の人間が関与していたのは間違いない。組織的かと言われれば、組織的だと考えている」
――報告書では「創業者の深山祐助氏が指示・明言したとまでは認定できない」と指摘しているが、「同氏の発案指示により」とも書かれている。
木目田氏「(界壁に使っていた)発泡ウレタンは、深山氏が『これを使え』と指示していると関係者が話している。それが法令に適合しなくてもいいから使えとまでは言っていないということだ」
――報告書では「ワンマン体制」とあるが、なぜワンマン体制に陥ったのか。
伊藤氏「『この会社は社長とそれ以外』だという人が複数いた。特に商品開発は直轄組織のようだった。社長の席があって、そこで指示するという体制。普通では考えられない特殊な体制だった」
――社員は法律よりも(祐助氏の)指示の方が上という意識だったのか。
伊藤氏「違法なことだと思ってやった人はいないが、ヒアリングなどで順法意識がみな欠けていたと感じた」
――法令順守の意識が薄いといった企業体質はまだ続いているのか。
山本憲光弁護士「深山祐助氏が社長時代の経営が厳しい中で、新商品を次々に導入して立て直そうとしていた。そのときに強力なリーダーシップで進めていたというのが大きな理由。その中で順法意識も乏しくなっていた。経営陣が変わってからも、そういう企業風土はなくなっていなかった。対応が遅いとか、気付くのが遅くなったというのは、やはり法令問題への感度の低さ。それは以前の企業風土から変わっていなかったからだ」
――深山祐助氏への聞き取りで、おわびなどの言葉はあったか。
伊藤氏「経営者としての責任は感じている。ただ、施工不備については『全部、現場に任せていた』と話していた」
――施工不備の規模は拡大しているように見える。さらなる調査の必要性は。
木目田氏「今後さらに追加的な調査をするかどうかは、関係各所、会社も含めて相談して、調べてくれということになれば前向きにやりたい」
――会社が発表した再発防止策はどのくらい効果があるとみるか。
木目田氏「通常行われる再発防止策のメニューは一通りそろっていると思う。ただ、我々が報告書に書いたとおり、メニューと形はいいが、それをちゃんと(従業員の)腹の中に落とし込んでほしい。それがなければ機能しないと思っている」