2019年7月22日(月)

米中懸念、強まる陰り 本社景気討論会

経済
2019/5/29 21:34
保存
共有
印刷
その他

日本経済新聞社と日本経済研究センターは29日、都内で景気討論会を開いた。米中の貿易摩擦が深刻になれば、世界経済が減速しかねないと懸念する声が相次いだ。国内景気は雇用情勢の改善を背景に、消費や設備投資が堅調との見方が強かった。

討論する(左から)NECの遠藤会長、損害保険ジャパン日本興亜の西沢社長、三菱総合研究所の武田チーフエコノミスト、日本経済研究センターの小峰研究顧問(29日、東京・大手町)

討論する(左から)NECの遠藤会長、損害保険ジャパン日本興亜の西沢社長、三菱総合研究所の武田チーフエコノミスト、日本経済研究センターの小峰研究顧問(29日、東京・大手町)

――中国の減速や世界経済をどうみるか。

遠藤氏 米中の議論はナショナルセキュリティー(国家安全保障)の問題が絡んでくると、答えが見えない。解けない問題を解こうとしていることになりかねず、長期化する。中国という世界の工場を除いたら、世界経済は成り立たない。

西沢氏 中国経済が減速すると東アジア経済が低迷する。自動車産業は会社によっては売り上げの半分を中国に依存しており、欧州経済も大きく影響を受けるだろう。リーマン・ショックの時には中国が4兆元の経済対策をしたことで世界経済はV字回復した。今は全く違う状況だ。

小峰氏 中国は環境問題、為替、過剰債務などかねて成長のハードルがたくさんある。さらに関税戦争が出てきた。景気浮揚策をやっているが、経済規模が相当大きくなっているので、かつてと同じ対策でも効果は半分くらいしか出てこない。先行きは楽観を許さない。

武田氏 金融市場の混乱が起きても対応策がないと、米連邦準備理事会(FRB)も気にしているのではないか。リーマン・ショック当時と比べ利下げの余地がそれほどない。米国による対中関税引き上げが行われれば、中国の成長率は1.9%の押し下げになる。一歩間違えれば6%割れの可能性もある。

――国内の景気はどうか。

遠藤氏 就業率をみると日本は断トツにいい。日本の企業活動が活発であることは間違いない。ICT(情報通信技術)の領域は、データをベースに価値を作り上げていく時代に変わってきた。AI(人工知能)やデータに関しては企業が積極的に投資している。

西沢氏 雇用・所得環境は落ち着いている。設備投資は底堅く、個人消費も堅調だ。ただ、消費増税を控え、注意しないといけないのはポイント還元制度だ。個人消費を引っ張っている60歳以上はポイントを使わないのでは。増税後に高齢者の消費の状況をよくみておかないと、全体の消費を冷え込ませる可能性がある。

武田氏 日本の輸出は中国向けの半導体製造装置や半導体部品が引っ張っていた。良かったときはインバウンド消費に匹敵する1.2兆円くらいの波及効果があった。それが半導体需要の調整で、地域の生産活動が影響を受けている。企業や消費者のマインドが後退してきている。

小峰氏 昨年10月くらいに景気がピークアウトして現在は後退局面という判断だ。ただし多くの人はとてつもなく悪くなる感じはないと思っている。今まで「実感なき景気拡大」と言われたが、「実感なき景気後退」の局面かと思う。3月の景気動向指数からみた基調判断は「悪化」だった。この指標は裁量の余地がなく、機械的に判断するので信頼できる。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。