業務用厨房大手のホシザキは29日、販売子会社の不適切取引など一連の不祥事を受けた再発防止策を発表した。不正の背景にあった過大な営業目標を見直し、上司と部下で話し合いながら目標を決める仕組みを導入する。経営責任を取って創業家出身の坂本精志会長は代表権を返上する。
不正が起きた販売子会社では営業部門の力が大きく、管理部門のけん制が利かなかった。管理能力を重視する人事評価と人事ローテーションを導入し、管理の目が行き届くようにする。グループ全体を見渡すリスク管理体制の構築も掲げた。
国内に拠点網を張り巡らせ、顧客の要望にいち早く対応する営業力を強みに成長してきただけに、営業偏重から脱せるかが再発防止のカギになる。
経営責任を明確にするとして役員の処分も発表した。坂本会長の代表権返上のほか、管理部門担当の専務と国内営業部門担当の常務をそれぞれ降格させる。小林靖浩社長は月額報酬の30%を3カ月間減額する。不正に関与した子会社の役職員や管理監督責任者については、社内規定に基づき厳格に処分するとした。
坂本会長は2011年に一度は社長職を降りたが、後任社長と経営方針を巡り食い違いが起きたとして14年に社長に復帰した。17年に会長専任となった後も精力的に海外の取引先を訪れるなど、第一線で活動してきた。
坂本会長は08年の株式上場を主導し、この10年間で売上高を7割増、営業利益を4倍にしたカリスマでもある。適切な内部統制作りには脱カリスマ依存も欠かせない。
ホシザキは30日、愛知県豊明市の本社で臨時株主総会を開く。3月の定時総会では18年12月期決算が確定せず、未報告だった。臨時総会で決算報告する。