電子コミック2社が電子取次で提携 海外で配信

2019/5/29 17:39
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電子書籍サイト「Renta!(レンタ)」を運営するパピレスと電子コミック配信の「めちゃコミック」のアムタス(東京・渋谷)は29日、海外向けに電子コミックの配信を支援する新会社を設立すると発表した。新会社を通じて日本のコミックの翻訳代行から配信先の開拓までを一貫して支援する。電子書籍販売のノウハウを生かし、中小の出版社が手がける日本コミックの海外展開を後押しする。

新企業を通じ、日本コミックの海外展開を支援する(29日、東京都渋谷区)

7月に海外向けの電子書籍の取次事業を手がける共同出資会社「アルド・エージェンシー・グローバル」を設立する。資本金は5000万円でパピレスが66.6%、アムタスが33.4%を出資する。共同出資会社の社長はパピレスの松井康子社長が兼務する。

新会社を通じて手がけるのは日本の電子コミックの海外市場の開拓だ。パピレスによると、約30万冊ある日本の電子コミックのうち、多言語化されているコミックは2万冊にとどまるという。

「作家からの許諾を得る手間などから、大手以外の出版社では人材やコストを(海外配信に)費やすことは難しい」(松井社長)

新会社は中堅・中小のコミックを手がける出版社を主な顧客に設定。作家との配信許諾契約から翻訳代行、配信先の開拓に加え、支払い管理システムの提供まで海外配信に必要な手続きを担う。パピレスによると、国内で海外向けの電子コミックの取次を手がける企業は初めてという。

パピレスは台湾や香港、米国に子会社を持っているほか、アムタスも5月に韓国の電子コミック配信サービス会社を子会社化するなど海外展開を進めてきた。

まずは香港などにあるパピレスの子会社を通じて電子コミックの取次事業を展開する。台湾や中国、北米では配信先となる電子書籍事業者の開拓を進める予定だ。

29日に都内で記者会見した松井社長は「新会社を通じ、日本のコミックを世界に広げるビジネスモデルをつくっていきたい」と意気込みを語った。

出版業界の調査研究機関である出版科学研究所(東京・新宿)によると、2018年の紙の出版物の推定販売金額は17年比5.7%減の1兆2921億円。14年連続のマイナスとなり、ピークだった1996年(2兆6563億円)の半分を切った。

紙の出版物の市場が縮小する中で、国内外で電子コミックの市場は拡大している。パピレスとアムタスの新会社を通じて、日本コミックの海外市場の開拓が進むか。業界の注目が集まる。

(篠原英樹、内山千尋)

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