全産業でデジタル革新 経団連が正式表明
経団連の久保田政一事務総長は日本経済新聞などのインタビューに応じ、ヘルスケアや交通などあらゆる産業分野でデジタル革新を進めるために経団連の組織を改編することを正式に表明した。各分野の提言を横断的にまとめる「デジタルトランスフォーメーション会議」を新設する。非会員のスタートアップ企業を呼び込むための委員会も新しくつくる。
中西宏明会長は30日の定時総会で就任2年目に入るが、検査入院のため総会を欠席する。久保田氏は中西氏に代わって取材に応じ「会長の不在は大変だが、回復して戻ってこられたら動き出せるよう、できる範囲の準備をしておく。副会長などに役割分担してもらうかたちで当面は進めざるをえない」と語った。組織改編は同日の総会で実施する。
中西氏は先端技術で課題を解決する社会を目指し、就任から1年間でデジタル変革に向けた経済界の成長戦略「ソサエティー5.0」を策定した。就職活動の時期を定める就活ルールの廃止や電力システム改革への提言など相次ぎ手を打った。久保田氏は「提案した議題を実行する年だ」と抱負を述べた。
技術覇権をめぐる争いで米中貿易摩擦が激化するなか、政府間の外交に加えて民間外交の重要性も強調した。経済と安全保障がより密接に関わるとみて、従来の「経済外交委員会」を「外交委員会」に名称変更する。