緩急自在、オリックス山本がタカを翻弄
オリックスの先発山本の「目くらまし作戦」が初回からはまった。1番釜元を150キロ超の2球で追い込むと、カーブを振らせて3球三振。今宮はカーブを見せた直後の151キロで投ゴロ。緩い球を意識させたところで、グラシアルには速球ばかりで三振に仕留めた。

わずか10球、まともに前に飛ばさせない投球はその後の好投の布石になった。外角いっぱいを狙った速球が少々甘く入ったところで、カーブが頭から離れないソフトバンクの面々は始動がワンテンポ遅れる。
150キロのカットボールにすっと沈むフォークボールと、バットスイングの軌道から外れる決め球も効き、7回を被安打6、奪三振9、無失点。休養のため登録抹消された17日から11日間、「気持ちの面も体の面もリフレッシュできた」ことが本拠地での今季初勝利につながった。
昨季リーグ2位の32ホールドをマークした山本は今季先発に転向。その初戦、4月3日のソフトバンク戦で見る者をあっといわせた。八回1死まで安打を許さず、9回無失点。ソフトバンクとの対戦はこの日で早くも3度目だが、計24イニングを投げ、いまだに無失点。「得意という意識は全然ないんですけど……」と語る20歳の言葉を、ライバルは額面通りには受けとらないだろう。
これで防御率は1.380となり、ソフトバンク・千賀を0.004上回ってリーグトップに。「千賀さんは誰もが認める投手。千賀さんみたいになれたら」と初々しく語る。常勝チームとそのエースを焦らせ、熱くさせる逸材の登場だ。
(合六謙二)