イノシシ向けワクチンで効果 豚コレラ問題で農水省
農林水産省は28日、豚コレラの感染源とされる野生イノシシに散布したワクチンの効果をまとめた。岐阜県と愛知県で、エサに混ぜた経口ワクチンを散布したところ、ウイルスの抗体を持つイノシシの割合が上昇したという。農水省はワクチン散布について「一定程度の効果があった」と結論づけている。
同日開いた有識者による「第1回豚コレラ経口ワクチン対策検討会」で調査結果を示した。経口ワクチンは豚コレラ対策として今年3月以降、2県で合計約5万7千個散布した。回収できなかったり食べた跡があったりしたワクチン数を基に計算したところ、散布したワクチンの6~7割がイノシシに摂取されたとみられる。
ワクチン散布区域で捕獲したイノシシを調査した結果、ワクチン散布前に比べ豚コレラの抗体を持つイノシシの割合は、岐阜県で40%から62%に、愛知県で50%から70%に高まり、ワクチンの散布の効果がみられた。
岐阜県と愛知県では現在も豚コレラに感染した豚が養豚場で見つかっている。農水省は今後も岐阜県と愛知県でワクチンを散布し、イノシシによる豚コレラのまん延を防止する。