2019年9月20日(金)

東京エレクトロン、中計見直し ファーウェイ問題が影

2019/5/28 19:41
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半導体製造装置の東京エレクトロンは28日、中期経営計画の説明会を開いた。従来は2021年3月期に連結売上高で最大1兆7000億円を目指していたが、今期から5年以内で最大2兆円に変更した。華為技術(ファーウェイ)問題などで半導体需要が減少し、半導体を作る装置も苦戦するためで、実質的には目標の先送りになる。4000億円の研究開発投資で成長への種まきを続けるが、具体的な回復シナリオはなお不透明だ。

東京エレクトロンの河合利樹社長は説明会で「米中摩擦で(業績の)不確実性が高まっている」と述べた。具体的には言及しなかったがファーウェイの問題などを念頭に置いているとみられる。

従来は来期に売上高で1兆5000億~1兆7000億円(前期は1兆2782億円)を達成する計画だった。しかし、ファーウェイへの制裁で同社のスマートフォン(スマホ)などの販売が減速する公算が大きい。スマホなどに使う半導体の需要が減少すれば、東京エレクトロンの半導体製造装置の受注にも響く。

今回は売上高の目標を「(今期から)5年以内で1兆5000億~2兆円」と大きく幅を持たせるプランに見直した。今期は売上高が1兆1000億円と前の期から14%減るため、従来の計画は実現可能性が低いと判断したとみられる。

これまで半導体業界では「19年半ばから後半にかけて需要が回復する」との声が根強く、4月には、半導体銘柄で構成する米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が最高値を付けた。しかし、ファーウェイ問題で楽観的な状況は一転。JPモルガン証券の森山久史アナリストはこのほど、半導体市場の回復時期を19年10月から20年1月に変更した。ファーウェイ問題が長引けば、さらに遅れる可能性がある。

東京エレクトロンは中長期ではデータセンター向けなどで半導体市場が拡大し、装置の販売も伸びるとみている。今後3年で4000億円の研究開発投資を実施すると発表したのは、そのためだ。次世代通信規格「5G」やあらゆるモノがネットにつながる「IoT」が普及するとみて、製造装置の性能向上を急ぐ。

説明会に先立ち、27日には1500億円の自社株買いも実施することを明らかにした。28日の東京エレクトロンの株価は株主還元を好感し、一時前日比7%上昇した。しかし、株価は直近1年でみると下落基調で、かつての勢いを失っている。

多額の開発投資や株主還元で企業価値を高める姿勢をアピールするが、半導体装置のシェア拡大などの戦略は具体性に欠ける。景気の影響を受けずに半導体市場が持続的に成長する「スーパーサイクル」論も影を潜めた。売上高営業利益率はなお20%を維持するが、売上高が伸びなければ採算も下がる。東京エレクトロンの経営のかじ取りは難しさを増している。

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