2019年8月24日(土)

「野村証券は法令意識欠如」 金融庁が改善命令発表

2019/5/28 22:02
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金融庁は28日、東京証券取引所の市場区分見直しに関する情報漏洩問題で、野村ホールディングス(HD)と野村証券に対して業務改善命令を出したと発表した。野村のコンプライアンス(法令順守)意識が欠如していると批判し、社内の情報管理や規範意識の向上で抜本的な見直しを求めた。経営陣を含む責任の明確化が必要との認識も示した。

野村証券に対する行政処分は、2012年に上場企業の公募増資を巡るインサイダー取引問題で業務改善命令を出して以来だ。野村HDの永井浩二グループ最高経営責任者(CEO)は28日、「法令等順守態勢および内部管理態勢のより一層の強化・充実を図り、再発の防止と信頼の回復に努める」とのコメントを発表した。

金融庁によると、東証の市場区分見直しに関する有識者懇談会のメンバーだった野村総合研究所の研究員が3月、野村証券のストラテジストに東証1部に相当する市場の指定・退出基準となる時価総額に関する情報を漏らした。ストラテジストから内容を伝えられた日本株の営業担当者が機関投資家に情報提供していた。

漏洩した事実は個別企業の内容が含まれずインサイダー情報には当たらないものの、投資判断に重大な影響を及ぼしうる非公開情報だった。金融庁は「資本市場の公正性・公平性に対する信頼性を著しく損ないかねない行為」だと判定した。情報漏洩の関係者について「証券会社の社員として求められる水準のコンプライアンス意識が欠如していた」と指摘した。

不祥事が続いていることも重くみた。過去のインサイダー問題を受け、野村は内部管理体制や社員の規範意識の強化に取り組むとしてきたが再び不祥事が起きたことから「コンプライアンス意識の全社員への徹底が不十分」と断定した。そのうえで、業務運営の改善が足りないとも指摘した。

野村HDは行政処分に先立つ24日、関係者の社内処分と再発防止策を発表した。永井グループCEOの月額報酬の3割を3カ月間減額するなど野村証券を含む役員7人の報酬を減らす。金融庁は経営陣を含む責任の明確化も求めたが、具体的には「会社が判断すること。改善策を着実に実行していくことが重要だ」(同幹部)と述べるにとどめた。

野村は再発防止に向けて不祥事が起きた「グローバル・マーケッツ営業二部」を廃止する方針だ。情報分析を担う調査部門と、投資家からの注文を執行する部門を分離し、機密情報のやり取りを制限する。

既に野村のビジネスにも影響が出ている。24日に情報漏洩の調査結果や社内処分を発表して以降、コマツやホンダファイナンスなどが発行予定の社債の主幹事から野村証券を除外した。債券や株式の売買注文も一部の機関投資家が発注を停止している。

今年は政府が保有する日本郵政株の3次売り出しが予定されている。総額が1兆円を超える大型案件だが、行政処分が出たことで野村は主幹事から外れる可能性がある。

野村HDは19年3月期に1000億円を超える最終赤字を計上しており、海外部門のコスト削減と国内営業店の店舗統廃合で経営の立て直しを急ぐ。同時に不祥事を繰り返さないための企業文化の変革も迫られている。

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