2019年7月19日(金)

最低賃金上げ 日商が数値目標に反対、異例の表明

経済
2019/5/28 22:00
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日本商工会議所など中小企業3団体は28日、政府が進める最低賃金引き上げの議論に反対する緊急提言を発表した。「3%を上回る目標を新たに設定することは強く反対する」とした。全国一律の目標にも反対する。中小企業から負担が重すぎるとの意見が噴出し、異例の反対表明となった。

日商が最低賃金引き上げの議論を巡って反対意見を表明するのは初めてだ。

最低賃金は学識者や労使代表が集まる審議会で決める。企業は最低賃金以上で雇用しなければならず、強制力がある。2019年の最低賃金は7~8月にかけて議論する予定で、日商の立場を明確にした。

最低賃金を決める審議会に先立ち、政府は年3%の賃上げを定着させようとしている。政府は6月にまとめる経済財政運営の基本方針(骨太の方針)で、全国平均で早期に最低賃金を1000円にする目標を明記する方向だ。

最低賃金は16年から3年連続で3%程度の引き上げが続いている。日商の三村明夫会頭は23日の記者会見で過去の実績について「政治の意向を明らかに忖度(そんたく)している」と指摘した。

中小企業の賃上げ率は18年に1.4%にとどまった。日商の調査では最低賃金の引き上げに伴い自社の賃金を引き上げた企業の割合は19年度に38.4%で、16年度比12.6ポイント上昇した。人手不足もあって賃上げをしているが、これ以上の賃上げは経営体力を奪うと感じる経営者が増えている。日商は「中小企業の経営実態を考慮することにより納得感のある水準を決定すべきだ」と主張する。

日商は全国一律の目標を置くことにも反対だ。現在の最低賃金は全国平均で時給874円。都道府県ごとに物価など経済状況を反映するため、最も高い東京都(985円)と最低の鹿児島県(761円)には224円の差がある。地方への影響が大きすぎて、雇用や事業の存続自体を危うくするとの危機感がある。

経済界の意見にも温度差がある。14日の経済財政諮問会議では、民間議員の新浪剛史サントリーホールディングス社長が5%の引き上げに言及した。新浪氏など民間議員は連名で「最低賃金については、より早期に全国加重平均が1000円になることを目指すべきだ」と記した資料を提出した。

一方、経済財政諮問会議で民間議員を務める経団連の中西宏明会長は資料から名前を外した。中西氏は「現実の地方の声はなかなか厳しい」と中小企業に配慮する姿勢を示した。

政府内には賃上げによる中小企業の負担軽減策として税制を優遇する案などがあがっている。大和総研の神田慶司シニアエコノミストは「政府の補助がなくても賃上げができるように事業規模の拡大など経営の見直しが必要だ」と指摘する。

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