2019年7月21日(日)

欧州議会、進む分極化 中道2大会派の退潮鮮明に
EU懐疑派伸長、リベラル・環境派が対抗、統合維持へ連携カギ

ヨーロッパ
2019/5/28 17:50
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23~26日に実施された欧州議会選挙は欧州政治の分極化を浮き彫りにした。戦後欧州の安定を支えてきた中道右派と中道左派の二大勢力が初めて過半数を割り込んだ。代わりに勢力を強めたのは極右など欧州連合(EU)懐疑派だけではない。親EUのリべラル会派や環境政党も議席を大きく伸ばした。懐疑派が独り勝ちして欧州統合に強くブレーキがかかる事態はひとまず回避した形だ。今後は親EU派が結束できるかが焦点となる。

欧州議会はEUの法案承認や重要人事に権限を持つ(仏ストラスブール)=欧州議会提供

欧州議会はEUの法案承認や重要人事に権限を持つ(仏ストラスブール)=欧州議会提供

「最も議席数を伸ばしたのは、大衆迎合主義(ポピュリズム)政党でも極右でもなく、われわれ親EUグループだ」。欧州議会選の結果の大勢が判明した26日夜、欧州議会で親EUのリベラル会派「欧州自由民主同盟(ALDE)」を率いるフェルホフスタット氏(ベルギー元首相)はツイッターで勝ち名乗りを上げた。

欧州議会選ではイタリアの極右「同盟」やフランスの極右「国民連合」がそれぞれ国内で第1党を獲得。両党が参加する欧州議会の会派「国家と自由の欧州」は改選前に比べて21議席増となった。ドイツの極右「ドイツのための選択肢」などでつくる反EU会派「自由と直接民主主義の欧州」も13議席増やした。EUとの対峙も辞さない強硬な懐疑派がいずれも伸長したのが今回の選挙の特徴のひとつだ。

ただ親EU派も従来の中道の二大勢力は大きく議席を減らしたものの、政策面で他党との違いをアピールしたリベラル派や環境会派は逆に議席を伸ばした。なかでもEU懐疑派をしのぐ勢いをみせたのがリベラル会派のALDEだ。選挙後の合流が有力視されるフランスのマクロン大統領の新党「共和国前進」と合わせたリベラル会派は改選前に比べて41議席増えた。

過半数を失った中道右派の「欧州人民党(EPP)」と中道左派の「欧州社会・進歩連盟(S&D)」は安定した欧州議会運営のため、他の親EU会派との連携が欠かせない。まずはオランダのルッテ首相らEU加盟国の首脳のメンバーも多いALDEとの連携を探ることになりそうだ。

「キングメーカーはマクロン仏大統領だ」。欧州議会での二大会派との連携を約束する代わりに、次の欧州委員長などEU首脳人事ではマクロン氏が決定権を握るとの観測も広がりだした。仏国内では第1党を極右「国民連合」に奪われたマクロン氏だが、欧州全体でみたリベラル勢力全体の議席増をテコに、影響力の挽回へむしろEUを舞台に存在感を強めるとの見立てだ。

欧州各国の環境政党「緑の党」などでつくる欧州会派「緑の党・欧州自由連合」も17議席増となった。ドイツでは連立与党で中道左派の社会民主党を追い越し、第2党に躍進した。二大会派が欧州議会での多数派形成のために緑の党に協力を呼び掛ければ、地球温暖化対策などでより厳しい政策へEUがシフトする可能性も出てくる。

欧州議会選はEU離脱を巡る英国の分断がなお深いことも示した。英国では早期の離脱を目指す「ブレグジット党」が3割超の得票率を獲得し、国内第1党となった。英国独立党(UKIP)と合わせると約35%の得票率となった。

一方でEU残留や2回目の国民投票を掲げる自由民主党も約20%の得票率を獲得した。同じくEU残留を目指す緑の党も約11%で、両党に親EUの地域政党を加えた得票率は、ブレグジット党などの離脱派と拮抗する結果となった。

メイ英首相が辞任を表明した英国は7月末にも選出される新たな英首相の下で、10月末に迫る期限までのEUからの離脱を目指す。16年の国民投票から3年を経ても真っ二つに割れたままの英国の民意は「合意なき離脱」を回避する道のりの険しさを意味している。

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