バス乗り込む児童らに凶行 住民「血を見て震えた」

2019/5/28 11:37 (2019/5/28 15:10更新)
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早朝の公園に痛ましい叫び声が響き渡った。川崎市多摩区で28日午前、登校中の児童らが男に次々と刺されて小学生ら2人が死亡した事件。「静かな街でどうして」。現場には救急や警察車両が慌ただしく出入りし、住民は恐怖で顔をひきつらせた。

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小学生らが刺された現場周辺で救助活動を行う救急隊員ら(28日午前、川崎市多摩区)

小学生らが刺された現場周辺で救助活動を行う救急隊員ら(28日午前、川崎市多摩区)

捜査関係者や周辺住民によると、事件現場付近には公園のほか、私立カリタス小学校のスクールバスのための停車場所があり、児童らは乗り込もうとしたところを襲われたとみられる。

「ぶっ殺してやる」。事件当時、仕事が早朝からで公園で休憩していた50代の男性会社員は男の叫び声を聞いた。声の方をみると、10人ほどの人だかりの向こうに男が包丁を手に立っていたという。

近くに住むタクシー運転手の男性(52)は午前8時ごろ、けたたましいサイレンの音で目を覚ました。「外に出ると公園周辺に何人か倒れていた」。近くのコンビニエンスストアの駐車場にはランドセルを背負ってうずくまった児童の姿も。「辺りは血の海だった。救急隊員が首を刺された女性の止血にあたっていたが、タオルは真っ赤だった」

別の住民男性(67)は同じコンビニから、スカートが真っ赤に染まった女子児童が大人に付き添われて出てくるのを見た。「恐怖で血の気が引いた様子だった」。地域の出身だという男性は「こんな事件は過去になかった。血を見て足が震えた」と悲痛な表情を浮かべた。

事件に巻き込まれた児童が在籍しているとみられる多摩区のカリタス小の前では、教員らが交通整理にあたった。児童らは保護者らに付き添われて、言葉少なに険しい表情で足早に下校した。孫の女児(7)を迎えに来た男性(73)は「なぜ子供を巻き込まなければいけなかったのか。言葉が出ない」と話した。

公園近くの保育園の女性園長(42)は「園児の散歩でもよく行く場所。近くでこんなことが起こるなんて」と動揺を隠さない。0~5歳の約50人が在籍する同園は学童保育も行っており、カリタス小学校の児童数人も通っている。園では事件を受けて散歩などの外出を中止。保護者には一斉メールで園児の安全を知らせたが、事件を受けて登園を取りやめた子供も数人いるという。

事件発生を受け、川崎市教育委員会などは28日午前、記者会見を開いた。市教委は現場近隣の公立学校で児童生徒の安否確認を実施。通学路のパトロール強化や職員の配置などを検討していることを明らかにした。同市多摩区は事件発生直後に区内の29保育園に散歩の禁止を通知した。

無差別殺傷、過去にも
 無防備な通行人や児童らが突然襲われ、被害に遭う事件はこれまでにも起きている。加害者と犠牲者に接点はほとんどなく、「自分の人生を終わりにしたかった」などと身勝手な動機を語るケースが目立つ。
2008年6月、東京・秋葉原の歩行者天国に男がトラックで突っ込んで無防備な通行人をはね、車から降りた後、刃渡り13センチのダガーナイフで12人を次々と刺した。7人が死亡し、10人が重軽傷を負った。男は逮捕直後の取り調べに「人を殺すため秋葉原に来た。生活に疲れ、世の中が嫌になった。誰でもよかった」などと供述した。
 学校が狙われたのは01年6月、授業中だった大阪教育大付属池田小の校舎に男(当時37)が侵入し、包丁で児童らを次々と襲った事件。2年の女児7人と1年の男児1人が死亡し、1、2年生の13人と教員2人が重軽傷を負った。
 事件は校門施錠や防犯カメラの設置など、各地の学校が安全対策を強化するきっかけとなったが、通学路の安全確保は課題として残された。
10年12月には、茨城県取手市のJR取手駅西口で停車中の路線バス2台に男(当時27)が乗り込み、乗っていた中高生らを刃物で切りつけたり殴ったりした。中高生11人を含む14人が軽傷を負った。男は逮捕直後、「自分の人生を終わりにしたかった」と供述した。
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