跡地活用に名乗り 閉館から半年 名古屋ボストン美術館
名古屋市が所有する名古屋ボストン美術館(2018年10月閉館)の跡地活用に再び動き出す。18年10月に最初に事業者を公募したところゼロだったが、再募集の期限だった5月27日に名乗りをあげた事業者があった。候補者の事業計画を審査し、6月末にも結論を出す見通し。
JR、地下鉄が通る金山駅の目と鼻の先にホテルなどが入る地上31階建てのビルがたつ。この3~5階に名古屋ボストン美術館はあった。年間最大57万人訪れたフロアは明かりが消え、3階に続くエスカレーターの入り口は封鎖されている。
市によると、18年10月の閉館後、市は2回にわたり跡地を利用する事業者を募集した。1回目の募集では現地の視察に10の事業者が訪れたが、最終的に手をあげた事業者はいなかった。

19年2月からの再募集では、階段などビルの共用部分にかかる光熱費と共益費を合わせた年間約3千万円を市が負担するなど条件面を見直した。募集期間も延ばした。視察には前回とは顔ぶれが異なる4つの事業者が訪れた。
市は選考過程に影響が出かねないとして、今回の応募者数や個別の名称を明らかにしていない。

市は初回の募集時から跡地の用途を博物館や美術館などに限定している。施設は美術館として建てられたため窓がなく、天井まで5メートルほどある特殊な構造だ。現在の規定では飲食店など他の目的で貸し出すことはできない。仮に改築を許可しても、少なくとも数十億円かかるとされる。
後継の事業者が見つかるまで施設は市が管理する必要があり、賃貸収入がないなかで共益費などを払い続ける必要がある。市は事業者に事業計画を提出してもらい、6月20日に市担当者と学識有識者、公認会計士らを交えたヒアリングを行う。同月末にも計画案の是非を判断する。内容によっては事業者の選定を先送りする可能性もあるという。(細田琢朗)
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