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美走・快走・楽走

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ペースにとらわれすぎず 走り自体を楽しもう
ランニングインストラクター 斉藤太郎

(2/2ページ)
2019/5/29 6:30
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「セカンドウインド」という現象があります。走り出しは酸素の需要に供給が追いつかず、息苦しい。ところが、しばらく走っていると呼吸が楽になり、自然とペースが上がってくる。この状態がセカンドウインドです。このような現象をタイム表示や理論から導くのでなく、呼吸の変化や心拍、脚の疲労度に意識を集中させ、柔軟に対応することで実現させてほしいのです。

車のカタログに記載された燃費が日常運転で達成されることはまずありません。ランニングも似ていて、多くのランナーは達成されるはずのない最高燃費、つまり一定ペースで走り切ることを理想にレースプランを立てがち。ですが、坂や路面、風、気温と様々な条件に左右されるため、当然ながら走りの燃費は落ちます。

■不安定を前提に対策を

徹頭徹尾ペースを乱さずに走り抜こうとすることが大切なのではありません。マラソンは、心拍や呼吸、心理面の様々な波が訪れる中で、それらを巧みにマネジメントしながらゴールまで走り続ける競技。対策のトレーニングでは不安定を前提に組み立てられるべきです。コースや天候への愚痴を言ったり、戦略や展開への言い訳をしたりする前に、基となる考え方を修正すべきです。

ニッポンランナーズではこのところ、不整地や起伏、階段を使った練習によく取り組みます。コース中にミニハードル越えや、スラローム区間を設けることもあります。導入の背景には前述の理由が多く含まれます。

ニッポンランナーズではミニハードルを使ったスラローム走に取り組んでいる

ニッポンランナーズではミニハードルを使ったスラローム走に取り組んでいる

あえてペース変動をつくる意味では、1キロごとにペースを上げ下げする「ウエーブ走」もします。ペースアップ区間の目安はハーフマラソンペース。下げる区間はそれより1キロあたり30~60秒落とします。ペース上昇の際に呼吸が乱れても、続くペース下降区間で走りながら回復させ、次の上昇に備えます。アタックランと回復ランの繰り返しで、球技のような走り方ともいえます。

10~14キロのウエーブ走では、1キロごとのアタックランと回復ランのペースは以下のようになります。

<サブ3を目指す人> 3分50秒/4分30秒

<サブ4を目指す人> 5分15秒/6分

<サブ5を目指す人> 6分/7分

最近の腕時計は様々な機能が搭載されています。設定ペースに導いてくれたり、アラームでペースの変動を教えてくれたりします。ツールとしてはとても効果的で、コーチがいないランナーには心強いことでしょう。そのアップグレードの速さに驚かされますが、はたしてランナー自身のアップグレードは進んでいるでしょうか。

本来高まるべきは時計の機能ではなく、ランナーが自身の走りをマネジメントする能力。素晴らしいランナーはペース勘がさえ、どういう局面で体がどうなるかを察知できます。皆さんにはそういう部分を高めてほしいと思います。競馬に例えると、ランナーはジョッキーであり、調教師であり、馬自身です。いくつもの役割をマネジメントする、そんな楽しみ方をしてみてください。

さいとう・たろう 1974年生まれ。国学院久我山高―早大。リクルートRCコーチ時代にシドニー五輪代表選手を指導。2002年からNPO法人ニッポンランナーズ(千葉県佐倉市)ヘッドコーチ、19年理事長に就任。走り方、歩き方、ストレッチ法など体の動きのツボを押さえたうえでの指導に定評がある。300人を超える会員を指導するかたわら、国際サッカー連盟(FIFA)ランニングインストラクターとして、各国のレフェリーにも走り方を講習している。「骨盤、肩甲骨、姿勢」の3要素を重視しており、その頭の文字をとった「こけし走り」を提唱。著書に「こけし走り」(池田書店)、「42.195キロ トレーニング編」(フリースペース)、「みんなのマラソン練習365」(ベースボール・マガジン社)、「ランニングと栄養の科学」(新星出版社)など。

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