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ペースにとらわれすぎず 走り自体を楽しもう
ランニングインストラクター 斉藤太郎

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2019/5/29 6:30
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あるクリニックで、こんなお父さんの質問がありました。「小学生の息子と親子ランニングをしたいけど、ついてきてくれません」。オーソドックスな回答は「もっとゆっくりしたペースで走ってあげてください」ですが、以下のような誘い方が効果的かなと考えます。「近くのコンビニまでアイスを買いに走っていこう」「公園へ行って2人でボールをパスし合いながら走ってみよう」

ランニングオンリーではなく、夢中になれる別の目的を軸に、結果的に走ってしまう誘い方です。大人は走ること自体を楽しめますが、子どもたちはそうはいきません。走ったり歩いたり、目に入ったものに興味を持って道草を食ったり。ところがです。サッカーやスポーツ鬼ごっことなると目つきが変わり、「やめよう」と言われるまで走り続けます。ボールを奪う、得点する、そんな目的に向かっていつの間にか走っているのです。疲れたら無意識に次のアタックに備え、呼吸を整えます。

挑戦と失敗、反省を繰り返し、子どもたちは自分にちょうど良いペースを把握する

挑戦と失敗、反省を繰り返し、子どもたちは自分にちょうど良いペースを把握する

そんな自然体のインターバルを重ねるうちに「ペースを上げすぎた」「もっと行ける」などと感覚が研ぎ澄まされ、挑戦と失敗、反省を繰り返し、自分にちょうど良いペースを把握するのだと思います。相手の意表を突くようなスパート、コーナリングやターンの巧みさも養われるのでしょう。幼い頃はサッカーなどの球技スポーツを志していたという陸上長距離選手が割と多いのも、こういった運動経験を経ているのだと考えます。

■楽しみながら走りを学ぶ

春の運動会を前にランニング教室講師をいくつか担当しました。100名を超えるような教室では楽しみながら学べるプログラムを考えます。ドリル1種目ではなく、複数のストーリーがある取り組みをします。

一例を挙げます。まずスキップなどをして40メートル進んだら、歩きに移行して息を整えます。ある程度歩いたら往路終了。等間隔に置かれたコーンの間をジグザグに進むスラローム走で元の場所に戻ってきます。こんな感じで取り組むと「やらされている感」はなく白熱し、もっと走りたいと訴えてくるケースがありました。

大会や練習で大人が子どもに事細かにラップを伝え、指示を出す光景を目にします。前提となっているのはイーブンペースと、上手に力を出し切って走ること。もっと自由に走らせてあげても良いのではと感じます。今の子どもは、幼いうちから一定ペースで走ることに慣れすぎている。ペースを守って結果に喜ぶ裏側で、子どもらしくない走り方を植え付けていないでしょうか。そういうものはもっと先で良いのではないでしょうか。

大人のランニングに関連づけます。疲労度の目安となる乳酸が血液中に蓄積し始めるポイントを「乳酸性作業閾値(いきち)」と言います。ランニングではこの値を引き上げることが大切で、そのための効果的な練習方法が一定ペースを維持して走ること。よって、大人が一定ペースを保って走る練習を否定はしません。

ですが、一定ペース至上主義というのか、ラップの変動にあまりに神経質な方が多くなっているのは気になるところです。形にとらわれず、揺さぶりやペース変動を受け入れ、ランニングを楽しむことを大切にしてもよいのではないでしょうか。まずは走りに没頭し、数値のチェックは後回し。そうすることで、少しずつ走りのマネジメント能力が高まるのではないでしょうか。

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