2019年7月19日(金)

市立尼崎高の体罰指導「容認の空気」根絶遠く

関西
2019/5/27 9:08
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兵庫県尼崎市立尼崎高で男子バレーボール部員が意識を失う体罰を受けた問題への批判が強まっている。バレー部で暴力を伴う指導が常態化していたとみられ、硬式野球部でも疑いが浮上する。市教育委員会は「学校に体罰容認の空気があった」と分析。専門家は「指導者以外のチェックの目が必要」と指摘する。

男子バレーボール部員がコーチから体罰を受けた兵庫県尼崎市立尼崎高の体育館=共同

4月29日の同校体育館。コーチの男性臨時講師(28)は3年生部員が指示通りにボールを拾わなかったと思い込んで10回以上平手打ちし、鼓膜損傷のけがを負わせた。失神しても救急搬送されないまま。監督の男性教諭(51)はけがについて学校に報告せず、市教委は隠蔽と認定した。

同校は昨年の全国高校総体(インターハイ)で初優勝した男子バレー部や、全国高校野球選手権大会2度出場の野球部などを擁するスポーツ強豪校。1学年約320人のうち80人が在籍する体育科は推薦入学のみで、県内全域から優秀選手が集まる。

ある生徒は「体育科では『退部イコール退学』との意識がある。体罰を訴えると退部させられると恐れているのでは」と明かす。「部内の出来事を外部に漏らすな」という指導もあるとされる。桑本広志校長は「部活を顧問に任せっきりにしていた」と話している。

体罰は2012年に大阪市立桜宮高でバスケットボール部員が自殺したことで社会問題となり、文部科学省は暴力による指導の禁止を通知などで徹底させてきた。だが、根絶にはほど遠い。

「市立尼崎高の事案は、学校以外なら逮捕されているはずだ」と指摘するのは、09年に剣道部の練習中に熱中症で死亡した大分県立高2年、工藤剣太さん(当時17)の母、奈美さん(50)。剣太さんは亡くなる直前に顧問に何度も平手打ちされた。奈美さんは「部活での暴力は責任が問われにくいと考えているから、なくならないのではないか」と憤る。

尼崎市教委によると、5月中旬のバレー部の保護者説明会では、指導から外れている監督の早期復帰を求める声も出た。ただ、監督自身にも部員の髪をつかむ体罰があった。稲村和美市長は「子供の安全より優先すべき事はない」と競技優先の風潮に警鐘を鳴らす。

日本体育大の南部さおり准教授(スポーツ危機管理学)は「生徒はある程度厳しい指導があると覚悟して強豪校に入学してくる。それが異常な指導につながらないよう、部活動をチェックする担当教員や管理職が見回るなどの対策が必要だ」と提唱した。〔共同〕

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