「ポスト・ドゥテルテ」に長女浮上 22年の比大統領選
中間選でドゥテルテ派圧勝、主導権握る

2019/5/26 18:59
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【マニラ=遠藤淳】フィリピン政界が2022年の大統領選へ早くも動き出した。人気の現職ロドリゴ・ドゥテルテ氏(74)が、圧勝を確定させたばかりの中間選の勢いで後継選びの主導権を握りそうだ。有力候補には勝利に貢献した同氏の長女が急浮上する。一方、現職が改憲で再選を目指すとの臆測も根強い。年6%台の高い成長率を続け、人口1億人の大市場でもある同国の政権の行方は、企業の投資戦略を大きく左右しそうだ。

ドゥテルテ大統領(右)の香港訪問に同行し、現地に住むフィリピン人らに囲まれる長女のサラ・ダバオ市長(2018年4月)=フィリピン大統領府提供

「22年までには多くのことが起こりうる。21年の世論調査が試金石になるだろう」。16日の現地有力紙によると、南部のダバオ市長で大統領の長女サラ・ドゥテルテ氏(40)は13日投票の中間選で推した政権派の圧勝が確実になった情勢を受け、3年後の大統領選に出馬する可能性を示した。

サラ氏は2月、中間選の応援演説で訪れた北部のルソン島で記者団に「(大統領選に立候補するかどうか)21年1月が決断の期限になるだろう」と述べていた。2月にはサルバドール・パネロ大統領報道官が、ドゥテルテ氏の後継について「サラ(氏)がなっても驚かない」と指摘した。

22日に結果が確定した中間選では、国政への影響が大きい上院の改選12議席のうち9議席をサラ氏が立ち上げた改革党の推薦候補が占めた。同党は政権支持で、ほかの3人の当選者も政権寄りの姿勢だ。サラ氏は全国を行脚し父親の政権派を応援した。弁護士出身で、父の後釜としてダバオ市長を務めてきた。中間選で同市長に再選された。

比政界に詳しいサント・トーマス大のデニス・コロナシオン教授は「(行脚で)サラ氏は全国での知名度を高め、次期大統領選の候補者として先行した」と話す。選挙戦で故マルコス元大統領の長女、エストラダ元大統領の長男など政界の有力者との協力関係を深めたことも、一部では出馬準備ととらえられる。

ドゥテルテ氏は念願の連邦制導入で異論のあるサラ氏の出馬を「認めない」というが、本音かどうかは明らかでない。

上院改選でトップ当選したシンシア・ビリヤール氏(68)も有力候補の一人だが、22日の会見では「大統領とサラ市長(の支援)に感謝する」と述べた。2位のグレース・ポー氏(50)は16年の前回大統領選に出馬し、知名度が高い。無所属だが改選前の上院では政権寄りの姿勢が目立った。

独裁者と呼ばれた元大統領の長男、フェルディナンド・マルコス元上院議員(61)も出馬に関心を示している。マルコス一族は前回大統領選でドゥテルテ氏の当選を後押ししたが、22年は影響力回復のため独自候補を立てる可能性がある。

主な候補で「反ドゥテルテ」が明確なのはレニー・ロブレド副大統領(54)だけだ。ドゥテルテ氏が推進する強引な薬物捜査などを批判し、無任所に追いやられた。

フィリピンでは大統領と副大統領をそれぞれ独自の投票で選ぶため、政策が異なることはよくある。大統領の任期は6年で、再選は憲法で禁止されている。

ドゥテルテ氏の支持率は各調査でおおむね7~8割と極めて高い。インフラ整備が軸の経済政策だけでなく、薬物対策も有権者の多くは評価する。18年末の世論調査で、居住地域で薬物使用者が「1年前より減った」という回答は66%だった。

くすぶるのはドゥテルテ氏が憲法改正で再選を目指すシナリオだ。同氏は国の仕組みを連邦制に移行するため、改憲を目指している。18年7月に私的な諮問機関から受け取った新憲法草案には大統領任期を「1期4年で2期まで」に改めると記されていた。草案は現職が新憲法下で22年大統領選に出馬することを認めていないが、議会で審議対象になる。ドゥテルテ氏は「この職務(大統領)に固執する考えはない」と繰り返している。

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