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「温室」拒んだ雑草魂 上原の引き際に何を学ぶか
編集委員 篠山正幸

(2/2ページ)
2019/5/28 6:30
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「(今季の最初の)3カ月が、僕の中では勝負、と決めていた。2月、3月、4月と練習していくなかで、一度も1軍に上がることなく、2軍で投げさせていただいたなかで抑えていない、という葛藤もあった。これが8月、9月になって、チームが首位争いとか、そういう状況になってるなかで、自分がこういう(進退に関する)会見とかをしているのは違う、と思った。それだったら、早く終わりたい、と」

辞めるならチームに影響のない形で、という強い意志があったことがうかがえる。

上原のシーズン半ばでの引退決断には、チームに影響のない形で辞めるという強い意志があったことがうかがえる=共同

上原のシーズン半ばでの引退決断には、チームに影響のない形で辞めるという強い意志があったことがうかがえる=共同

虎は死して皮を残し、人は死して名を残す、とか。上原は引退して何を残すのか。

日米にまたがる100勝、100セーブ、100ホールドの「トリプル100」や、第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本の優勝への貢献といった記録、功績は改めて語るまでもない。4シーズン優勝から遠ざかっているチームに残したものに、ここでは注目したい。

もはや戦力になれない、と自己診断し、決断したその場で、ユニホームを脱ぐということ。これは功成り名を遂げた選手としては、近年では珍しい辞め方かもしれない。

シーズン前に「今年限り」と引退を告知して、ファンとともに別れを惜しみつつ、引退という着地点に向かって、ゆっくり降下していくというやり方が、近ごろは増えてきた。

そうしたなかで決断、即引退という道を、上原は選んだ。その姿に、これからV奪還を目指して戦う後輩たちが、何を学ぶかが肝心なところだ。

現役でいることの重みとありがたみ

上原は「チームの功労者なのだから、自分の納得のいくまで、好きなだけやってくれ」というたぐいの厚意に甘えることを潔しとしなかった。つまり、いくら弱っても「ここの中なら大丈夫だから」といわれて「温室」のなかでぬくぬくと過ごすことを拒絶した。「雑草魂」の人らしい引き際ではないか。冬には枯れる、という厳しいけれど、自然の摂理に従う選択をしたのだ。

漫然とユニホームを着るのでなく、なぜ「自分はユニホームを着ていられるのか」と、上原は絶えず自問自答してきたのではないだろうか。

その決断を漫然と眺めている選手ばかりなら、巨人のV奪回は難しい。我が身のことととらえ、改めて現役でいることの重みとありがたみに思いを致す選手がいれば、V奪回も不可能ではないだろう。

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