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データが結ぶ菊池とバウアー 球団の垣根越え交流
スポーツライター 丹羽政善

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2019/5/27 6:30
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ほぼ約束の時間に姿を見せた菊池雄星(マリナーズ)は、真新しいボールを2つ、手にしていた。

「サイン用?」とジョークを飛ばすと、「違います。教えてもらう用です」と言って、無邪気な笑みを返した。

ややあって、過去4年連続で2桁勝利をマークし、2018年にはオールスターゲームにも選ばれたトレバー・バウアー(インディアンズ)が、まだ肌寒いというのに短パン、サンダル姿で反対側のダッグアウトから現れる。

チームの垣根を越えた交流のスタートだった。

「菊池に会ってみたい」「ぜひ!」

そもそものきっかけは、18年12月まで遡る。

バウアーがオフにトレーニングを行うことで知られ、データやハイスピードカメラを駆使してアスリートのパフォーマンス向上を支援する「ドライブライン」と、同じくデータ解析やバイオメカニクスの専門家よるアスリートの総合的なサポートを業務とする日本企業で、菊池ともパーソナルアスリート契約を結ぶ「ネクストベース」が、米野球関係者が一堂に会するウインターミーティングで顔を合わせた。

この分野で他をリードする日米の両グループが意見交換をする中で、菊池の名前が出た。ネクストベースのエグゼクティブフェローを務め、国学院大学で准教授としてバイオメカニクスを教えている神事努さんが、データを使った菊池の取り組みを紹介したのだ。すると、ドライブラインを立ち上げたカイル・ボディー氏が興味を持ち、バウアーにそのことを伝えた。

そして19年3月、NHKの「ワースポ×MLB」という番組で筆者がバウアーをインタビューした際に彼の口から、「菊池もデータを利用したアプローチに興味があるみたいだね。会ってみたい」という話が出た。その意向を菊池に伝えると、「ぜひ!」とほおを緩めた。

4月15日のインディアンス戦で故ジャッキー・ロビンソンの背番号「42」をつけて先発、バウアーと投げ合ったマリナーズ・菊池=共同

4月15日のインディアンス戦で故ジャッキー・ロビンソンの背番号「42」をつけて先発、バウアーと投げ合ったマリナーズ・菊池=共同

開幕まもない4月半ば、さっそくインディアンズがシアトルに遠征してきた。15日から3連戦。くしくも2人は15日のジャッキー・ロビンソンデーに投げ合い、菊池は6回を投げて5安打、3失点。バウアーは七回途中まで投げて5安打、1失点と互いに持ち味を発揮した。試合が終わってから菊池、バウアーの2人にそれぞれ予定を確認すると、翌日に会う流れが決まる。翌日午前、「では、午後2時にフィールドで会おう」という段取りになった。

その午後2時といえば、まだフィールドには誰もおらず、土の上にはほとんど足跡もないような時間である。すでに球場入りしている選手は少なくないが、早出特打などが予定されていなければ、室内でトレーニングなどをしている時間である。客席には座席や手すりを雑巾で拭く人が、まばらにいるだけだった。

先にダッグアウトから出てきたのは菊池。ややあって、バウアーが合流。菊池は手に持っていた2つのボールのうち、1つを渡す。彼が最初に投げ掛けた質問は、2人の会話らしく、マニアックだった。

「新しい球種に取り組むときの過程は?」

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