2019年6月18日(火)

大阪都構想、コスト抑制が焦点に 維新・公明が合意

関西
社会
2019/5/25 23:02 (2019/5/26 0:35更新)
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大阪維新の会と公明党大阪府本部は25日、「大阪都構想」について賛成の立場で議論することで合意した。公明はコストや経済効果を巡り都構想を厳しく批判してきた経緯があり、住民サービスの維持やコスト抑制など4項目の要望を歩み寄りの条件とした。6月にも再スタートする法定協議会(法定協)で、制度設計を巡って再び攻防となる可能性もある。

記者会見で握手する大阪維新の会の松井一郎代表(左)と公明党大阪府本部の佐藤茂樹代表(25日、大阪市北区)

記者会見で握手する大阪維新の会の松井一郎代表(左)と公明党大阪府本部の佐藤茂樹代表(25日、大阪市北区)

「賛成の立場から前向きな議論をしたいという結論を出した」。25日夜、大阪市内のホテルで開かれた共同記者会見で、佐藤茂樹・公明府本部代表が説明した。

公明は(1)地下鉄・バスの敬老パスや塾代助成など住民サービスを低下させない(2)特別区設置のコストを最小限にする(3)現行の区役所の窓口機能を維持する(4)全特別区に児童相談所を設置する――を要望し、維新は柔軟に応じる姿勢を示したという。

このうち敬老パスなどの住民サービスや区役所の窓口機能の維持については維新も必要性を認めてきた。児相の各特別区への設置も実現可能とのスタンスだ。

一方、(2)のコスト抑制を巡っては、これまで激しく対立してきた。現行案は区庁舎の整備に最大558億円かかり、システム改修などに年間41億円が必要。さらに、公明は人件費が15年間で350億円かさむとの想定を示した。合算すると、15年間で最大約1500億円に上る。

公明は特別区の財政が悪化し「住民サービスが維持できる保証はない」と批判。維新の松井一郎代表(大阪市長)は「コストではなく投資だ」と反論していた。

今回、公明が賛成に転じたことで、6月にも再開する法定協では現行案を軸に制度設計を議論するとみられる。維新は約1年後をめどに制度案(協定書)をまとめる方針で、公明の佐藤氏も「おおむね1年でより良いものをつくる」と説明するが、コスト抑制などの議論が紛糾すれば、スケジュールがずれ込む可能性は残る。

春以降、維新は公明が都構想に賛成しなければ、次の衆院選で公明現職のいる関西6選挙区に対抗馬を擁立する方針を繰り返し強調してきた。

この日の記者会見で、佐藤氏は「衆院6区の候補者擁立については会談で話題には上がらなかった」と強調。松井氏も「信頼関係が高まれば、おのずと答えは出る」と言及するにとどめたが、衆参同日選の観測などもあるなかで、公明が国政での党勢維持のために維新に歩み寄ったとの見方は強い。

公明の賛成で府・市両議会の過半数確保は確実となり、2度目の住民投票が実現する見通しになった。松井氏は「きょうの時点で日にちが決まったわけではない」と説明するものの、維新が目指す20年秋~冬の実施へと大きく近づいた。

ただ、松井氏がラストチャンスとする2度目の審判で住民の支持を得られるかは依然不透明だ。過半数の賛成を得るには、政党間の駆け引きではなく、コスト抑制などこれまで示されてきた懸念に対し、多くの住民が納得する答えを示す必要がありそうだ。

自民賛否「法定協までに」府連会長

自民党大阪府連の渡嘉敷奈緒美会長は25日、「大阪都構想」について、法定協議会(法定協)の再開までに賛否を決める考えを示した。府連幹部・役員による合同会議の終了後に記者団に答えた。

この日の会議で都構想への意見はまとまらなかった。渡嘉敷会長は記者団に「ばらばらのスタンスで議論に入ることは何としてでも避けたい」と述べた。

渡嘉敷会長は5月11日、都構想の賛否を「ゼロベースで考える」としたうえ、是非を問う住民投票の実施については容認する府連の方針を発表。大阪市議団や堺市議団は「住民投票に賛成すれば、都構想そのものに賛成することになる」と反発している。

上崎哉・近畿大教授(行政学)の話 大阪維新の会が完勝した4月のダブル選などで、公明党は「大阪都構想」に反対の立場を貫いた。都構想に賛成を示すなら「選挙の民意を受けとめた」という理由だけでは有権者の理解を得られず、より丁寧な説明が求められるだろう。
2015年の住民投票は僅差で否決されたが、公明が都構想自体に賛成の意向を示せば、次は可決される可能性が高まる。特別区の区割りや財源確保など、住民サービスの低下につながりかねない懸念について議論が足りない。そんな中での方針転換で、説明が不十分と言わざるを得ない。
北村亘・大阪大教授(行政学)の話 公明党が都構想賛成に転じるのは戦略的に仕方がない面がある。4月の大阪府知事・市長のダブル選などで維新候補が圧勝したのを見て、維新と取引した方が組織力の維持には有効だと考えたのだろう。ただ、これまで強硬姿勢を貫いてきた市議らに反対論が残る可能性はある。
 重要なのは、お互いを批判し合うだけの議論を脱し、落ち着いて都構想の設計図を作ることだ。庁舎整備費や人件費を抑えるための方策など議論すべき点は多々残っている。持続可能な制度案を作るうえで役割を果たせるかで、公明の真価が問われる。

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