大阪都構想推進で合意 維新と公明
大阪市を廃止し、特別区を設置する「大阪都構想」推進を巡り、大阪維新の会と公明党大阪府本部は25日、約1年後に制度案(協定書)をまとめ、都構想の是非を問う住民投票を行うと合意した。両党の幹部が大阪市内のホテルで最終協議した。一貫して反対してきた公明は都構想実現に賛成する立場を正式表明した。2015年5月以来、2度目の住民投票実施は確実で、維新側は20年秋~冬を目指す。
維新の松井一郎代表(大阪市長)と公明の佐藤茂樹府本部代表が25日夜、共同記者会見し、合意を表明した。佐藤氏は「合意ができた。(都構想に)賛成の立場で1年間議論していこうということになった」と述べた。松井氏は「最終判断は住民にお願いする。住民が住みやすくなったと感じてもらえる大阪をつくりたい」と話した。
松井氏、佐藤氏ら両党幹部の会談は5月19日、23日に続き3回目。大阪維新政調会長の吉村洋文府知事や双方の府議、市議も同席した。協議で公明は、住民サービスの維持や、特別区設置コストを最小限に抑えるなど4項目を提示した。維新は修正に応じる姿勢を示した。
4月の統一地方選前まで公明は「住民サービスの低下」などを理由に都構想に反対してきた。今回、わずか1カ月で賛成に方針転換した背景には、4月の大阪府知事・大阪市長の「ダブル選」などの維新の圧勝がある。
さらに維新は公明が都構想に賛成しなければ次の衆院選で関西6選挙区に対抗馬を擁立する考えを強調。公明は夏の参院選に合わせた衆参同日選観測などをにらみ、維新との早期の関係修復が不可欠と判断し、歩み寄ったとみられる。「『常勝関西』を守るために維新への歩み寄りは仕方がない」。公明幹部は語る。
一方、維新側にも交渉を急ぐ理由があった。強みは統一地方選や衆院大阪12区補選で「連勝」した勢いだ。選挙前に公明に協力するカードを切り都構想実現の道筋を明確につける狙いがあった。