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朝乃山、無欲の快進撃 三役未経験のV58年ぶり

2019/5/25 21:47
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場所前はおろか中日を過ぎてもなお、この大番狂わせを信じる向きは少数派だったろう。それは「実感が湧きません」と目を白黒させる朝乃山も同じ。無欲のまま走った先に平幕優勝というゴールが待っていた。

【平幕の朝乃山が初優勝 大相撲夏場所】

豪栄道(手前)攻める朝乃山。寄り切りで破った=共同

豪栄道(手前)攻める朝乃山。寄り切りで破った=共同

大関をねじ伏せたこの日の相撲で、それが勢いだけの結果でないと証明した。立ち合いは先に豪栄道に左上手を許す苦しい形。これまでなら強引なすくい投げで墓穴を掘る展開だったが、「なぜかわからないけれど、じっとしておこうと思った」。体勢を整え、左を絞りながら攻めに出た冷静さと勇気は今場所で得た自信のたまものだ。

相手の反撃を土俵際でどっしりと受け止め、ググッと左から持ち上げて体を入れ替えたあたりは、果たしてどちらが大関かという力強さ。187センチ、177キロの体格を生かしたスケールの大きな取り口は日を追うごとに破壊力を増していった。

新入幕以降の過去10場所でそれぞれ2度の2桁白星と敢闘賞があるものの、成績の波が大きく最高位は西前頭5枚目。そこから佐田の山以来58年ぶりとなる三役未経験での優勝をつかむジャンプアップの背景には「ラッキーもあるかもしれない」と師匠の高砂親方(元大関朝潮)は認める。

横綱白鵬の休場、新大関貴景勝の負傷離脱。そして前日には物議を醸した物言いの末に勝ちを拾った栃ノ心戦。いまだ半信半疑の本人は「一生残るんじゃないか」という負い目も感じつつ、「ここまで来たらいくしかない」と腹をくくった。

弟子の活躍ぶりに「今場所だけだろ。何場所もやってきたわけじゃない」と露悪的に答えた師匠はこう続けた。「でも、ここからだ。この場所で終わりじゃないから」。令和の始まりに刻んだ初優勝を、快進撃の第1幕とできるかどうかは本人次第だ。(本池英人)

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