2019年8月26日(月)

全日空、「空飛ぶホテル」の運航開始
エアバス「A380」 ハワイの空さらに身近に

2019/5/24 22:45
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全日本空輸は24日、成田―米ハワイ・ホノルル路線で欧州エアバスの世界最大の旅客機「A380」の運航を始めた。「空飛ぶホテル」の異名を持ち、総座席数は520席とこれまで同路線で運航してきた機体の約2倍に増える。世界の航空業界では中小型機の旅客機が主流になる中、逆張りとも言える大型機の投入で、先行する日本航空を追撃する。

全日本空輸の平子裕志社長(写真中央)らがA380初便の出発を見送った(24日、成田空港)

就航記念セレモニーでは、関係者が鏡開きでA380の門出を祝った

全日空のA380をモチーフにしたマスコットも登場した

初便はファーストクラスを含む全席が予約段階で完売した。500人を超す乗客を乗せたA380は24日夜、全日空の平子裕志社長や多くのスタッフに見送られ、成田からハワイ・ホノルルへと飛び立った。

全日空のA380はハワイで神聖な生き物とされるウミガメの親子をあしらった特別なデザインが特徴だ。室内も個室型シートを導入したファーストクラスやフットレストを上げてベッドのように使えるカウチシート、授乳や着替えなどに使える多目的スペースなど大型機の余裕を生かした装備をそろえた。

この日、取材に応じた全日空の平子社長はA380の導入について「(一過性の)特需にしないようにしたい。色々な仕掛けを考えている」と述べ、音楽イベントなどを通じて継続的にハワイ需要を喚起していく考えを示した。

「これまでビジネス路線に多くの投資をしてきたが、これから先は(ハワイのような)プレジャー路線にもしっかり投資をしていく」とも述べ、リゾート路線の強化を進める。

全日空が期待をかけるA380だが、欧州エアバスは既に生産中止を決めている。航空業界では融通が利きにくい大型機ではなく、路線の需要に柔軟に対応できる中小型機に需要が移行。受注が低迷したためだ。

こうした中で全日空がA380の導入に踏み切った背景には、スカイマークの存在がある。ANAホールディングス(HD)は2015年、経営破綻したスカイマークへの支援を巡って米デルタ航空と争った。その際、スカイマークの大口債権者だったエアバスに協力を求めたことがA380の発注につながったとの見方がある。

500席を超える超大型機を有効利用できるのが座席利用率9割というハワイ路線だった。ハワイはライバルの日本航空が座席数シェアで3分の1を握るが、A380の導入でシェアを25%に引き上げる戦略を描く。

全日空はA380就航に合わせ、ホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港(旧ホノルル国際空港)に同空港最大のラウンジを設けた。またハワイ路線にオーストラリア発祥の人気店「bills(ビルズ)」と組んだ新メニューを導入するなど、機内食も刷新している。

日航も手をこまぬいてはいない。このほど日本―ホノルル路線で、人気アイドルグループの「嵐」を描いた特別塗装機の運航を開始。さらにリピーターや家族向けに需要が多い別荘などを1棟借りして泊まる「バケーションレンタル」の世界最大級の予約サイト、米ホームアウェイと提携するなど、ハワイ需要の死守にあの手この手を繰り出す。

ハワイを巡ってはマレーシアの格安航空会社(LCC)のエアアジアXも17年に関空―ホノルル路線を開設し、便数を増やしている。航空各社の激しい競争は、日本人にとってハワイをさらに身近な存在にする可能性がありそうだ。

(井沢真志)

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