2019年6月21日(金)

愛知県、「独自ビザ」で留学生の起業後押し

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2019/5/25 1:30
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愛知県は外国人留学生の起業を後押しする。希望者に県独自の証明書「あいちスタートアップビザ」を支給し、国から特例として最長1年間の在留延長が認められるようにする。起業の準備期間を長くし、ハイテク分野を中心に優秀な外国人材を県内に呼び込む。

外国人は大学や大学院を卒業・修了すると原則として「留学」の在留資格を失い、帰国する必要がある。新制度は証明書を取得すれば「特定活動」として最長1年の在留資格を得られ、国内に滞在しながら起業の準備ができる。4月に制度を創設し、今後本格的な展開を目指す。

制度を利用できるのは、県内で起業を目指す外国人だ。事務所を確保した上で、「500万円以上の投資」または「常勤2人以上の雇用」のどちらかの条件を満たす見込みがあれば、県が証明書を発行する。証明書とともに地方出入国在留管理局で手続きすれば、自治体の管理・支援を受けた在留資格「特定活動」(起業)を得られる仕組みだ。

さらに起業した後も、最長5年延長できる在留資格「経営・管理」を取得できる。更新を続ければ長期滞在で起業したスタートアップの経営に深く関わり、事業拡大や株式の新規上場といった成長戦略を描きやすくなる。

愛知県は国内外の学校などに新制度を周知し、留学生らを県内に呼び込む。同時に今回の新制度を利用する外国人には経営の支援団体を紹介するなどして、円滑な事業活動を後押しする。

県内の大学・短大などへの留学生は18年5月時点で6719人と、3年間で4割増え過去最多水準にある。アジアを中心に100を超える国・地域から愛知に留学している。ただ、県内への就職率は3割ほどにとどまる。起業する学生の割合はさらに低いとみられる。

大村秀章知事は米国や中国の起業支援を視察するなど、起業支援を県の重点政策に位置付けている。今回の新制度で人工知能(AI)の応用や、あらゆるものがネットにつながる「IoT」、ヘルスケア関連などのハイテク産業での起業が活発になる効果を期待している。

愛知県には既存の国家戦略特区の仕組みを活用し、県内で起業する外国人に6カ月の在留延長を認める特例措置もある。今回の取り組みはさらに6カ月長く在留できるため、留学生の利点は広がりそうだ。(小野沢健一)

▼あいちスタートアップビザ 国が入国を認めるビザ(査証)ではなく、出入国管理法に基づいて国が認定する在留資格「特定活動」(起業)を取得する上で必要となる証明書。愛知県が留学生への面接や事業計画書をもとに事業の実現性などを判断し、発行する。2019年度から運用を始めた。対象は県内で起業を目指す外国人。

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