2019年6月24日(月)

米、アサンジ被告引き渡しへ英に圧力 スパイ罪で起訴

トランプ政権
ヨーロッパ
北米
2019/5/24 16:47
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【ワシントン=中村亮】米司法省は23日、内部告発サイト「ウィキリークス」の創設者ジュリアン・アサンジ被告をスパイ罪で起訴した。安全保障に関わる機密公開を深刻な問題と判断し、被告を拘束している英国当局に引き渡しを強く迫る構えだ。機密情報の線引きは曖昧で「報道の自由」を規定する合衆国憲法との整合性が問われるのは確実だ。

アサンジ被告は米政府の機密情報を次々と明らかにした(4月、ロンドン)=ロイター

アサンジ被告はアフガニスタン戦争やテロ組織の戦闘員を収容するグアンタナモ米軍基地などに関する米政府の機密文書を次々と公開した人物だ。起訴状によると、司法省はイラク戦争に関わる機密の情報源となった個人名をインターネット上で公開したことを問題視した。司法省高官は「戦争地帯における秘密の情報源であると知りながら意図的に公開した」と非難した。

今回の起訴は安保に関わる機密公開に厳しく対処するトランプ政権の方針を示すものだ。米中央情報局(CIA)のポンペオ長官(現・国務長官)は2017年、ウィキリークスについて「ロシアなどの支援を受けた敵意に満ちた情報機関だ」と強く批判した。オバマ前政権はスパイ罪で同被告の起訴を検討したが最終的には見送っていた。

米国の方針は身柄の移送先を判断する英国当局への圧力となる。米国が安保への脅威を理由にあげたことで、歴史的に安保協力を深めてきた英国は引き渡しを拒否しにくくなるとの見方がある。性的暴行容疑で捜査を再開したスウェーデン当局も20日に身柄引き渡しに向けた手続きを開始しており、米国がこのタイミングで追加の起訴に踏み切った可能性がある。

一方、今回の起訴は報道の自由を侵害するとの懸念もある。オバマ政権で司法省高官を務めたマシュー・ミラー氏はツイッターで「アサンジ被告を起訴した理論はニューヨーク・タイムズの記者にも容易に適用できるものだ」と指摘する。記者は機密情報の取得を目指しているからだ。司法省は「アサンジ被告は記者ではない」と反論するがその区別は曖昧だ。

ウィキリークスも「起訴は安全保障を扱うジャーナリズムの終わりを意味する」と非難した。トランプ大統領は報道を「フェイクニュース」と断じて、メディアを敵視する言動が目立つ。今回の起訴が反政権メディアに対する締め付けにつながるとの懸念もある。

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