二審判決「覆る可能性」 諫早開門訴訟で漁業者側弁護団
国営諫早湾干拓事業(長崎県)を巡り、潮受け堤防排水門の開門命令の効力が争われた訴訟の上告審で最高裁が7月に弁論を開くことを決めたことを受け、開門派の漁業者側弁護団は24日、福岡市内で記者会見し、国側勝訴とした2018年7月の二審・福岡高裁判決について「覆る大きな可能性を得た」との声明を発表した。

馬奈木昭雄弁護団長は「最高裁の判断は極めて穏当。ただ審理が差し戻される可能性が高い」と指摘し、「国や営農者も含めて話し合わなければならないという解決の道筋ははっきりしている」として和解協議を進める環境を整えるべきだとした。
これまでの裁判では、国に開門を命じた10年の福岡高裁判決と、開門差し止めを命じた13年の長崎地裁の仮処分決定という正反対の判断がそれぞれ確定。18年の高裁判決では、漁業者側の漁業権はすでに消滅し、開門を求める権利が認められないとして、10年判決の効力を事実上無効にして国側が逆転勝訴した。
弁護団によると、最高裁は22日付で「開門請求権がないとするのは過去の確定判決の効力についての法令解釈が誤っている」などとする漁業者側の上告受理申し立て理由を受け入れ、弁論期日を指定したという。声明では「福岡高裁の不当判決が厳しく見直されることになる」と強調。「和解による紛争の総合的解決のために引き続き全力を傾注する」とした。