2019年6月20日(木)

モディ流取引外交 インド総選挙大勝で始動

南西ア・オセアニア
2019/5/24 9:32
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【ニューデリー=黒沼勇史】23日に開票したインドの下院総選挙で与党連合が大勝し、モディ首相の2期目入りが決まった。第2次政権の発足は来週以降になるが、地域の盟主としての地位を高める安全保障上の戦略と、経済的実利の二兎(にと)を追うモディ流の「取引外交」が再び始まる。

再選を確実にし、祝福を受けるインドのモディ首相(中)(23日、ニューデリー)=三村幸作撮影

「南アジアの平和と前進、繁栄に向けモディ氏と共に働くのを楽しみにしている」。パキスタンのカーン首相は23日、モディ氏率いるインド人民党(BJP)が総選挙で勝利したと伝わると、すぐツイッターで祝意を表した。

印パは2月に起きたカシミール地方のテロを契機に空爆し、対立が続く。カーン氏は対話を求めたが、選挙中のモディ氏は拒絶してきた。カーン氏の祝意にモディ氏は反応していないが、前日には両国の外相が上海協力機構(SCO)の会合を開いたキルギスで非公式に会談した。近く開くSCOサミットで両首相が会うための地ならしとの見方もある。

モディ氏の外交への力の入れようは外遊頻度からも明らかだ。2014年以降の第1次政権でモディ氏が訪れた国は延べ93カ国に上る。シン前政権の3倍のペースだ。

モディ流の取引外交の例とされるのが15年の日印首脳会談だ。インドが日本から新幹線を購入する代わりに、両国が原子力協定を交わす「バーター取引」があったとされる。

18年の印ロ首脳会談ではロシア製地対空ミサイルシステム「S400」の購入で合意した。自国の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)をインドに売り込みたい米国はS400購入の撤回を求めたが、インドは米国のイラン制裁に協力する代わりにS400購入を黙認させた。

「モディ氏は世界の大国と取引できるインドの特殊な立ち位置を熟知している」。インドのシンクタンク、ゲートウエーハウスの上級フェロー、ラジブ・バティア氏はこう指摘する。

1人当たり国内総生産(GDP)が2200ドルにとどまるインドは投資誘致と技術移転が必要だが、南アジアの盟主として軍事力や安保上の優位性を高める必要もある。

第2次政権発足後のモディ氏の初外遊は、6月下旬に20カ国・地域(G20)首脳会議を開催する日本になりそうだ。ただモディ氏に各国首脳の祝電が多く届いた23日、インド外務省がまず公表した祝電は「より緊密な経済開発のパートナーとして働きたい」と送った中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席からのメッセージだった。

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