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豊島逸夫の金のつぶやき

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G20まで待てない市場

2019/5/24 9:00
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米中貿易戦争がハイテク覇権争いという核心に戦線拡大するなか、市場は要人発言に一喜一憂してきた。大阪G20では米中トップの手打ちがあるとの楽観的見解が目立つ。

とはいえ、6月28日、29日のG20(20カ国・地域)までまだ1か月以上あり、ヘッジファンドは待てない。なにもせず、キャッシュポジションを増やすだけでは顧客からの解約が増えるだけだ。とにかく動かねば、との焦燥感が透ける。売りから入るのか、買いから入るのか。

中国側が、国営通信や政府系新聞を通して米国非難の論調を強めると、格好の売りの口実になる。しかも、前日(米時間22日)発表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録では、まだ利下げには動かないことがほぼ確認された。パウエル・プットは期待薄だ。

企業の決算発表では、業績が良くてもアナリストからの質問に対して「関税10%と25%の違いは大きい」との発言があれば、ただちに売られる。

債券市場に目を向ければ、米10年債利回りは2.30%前後、同3カ月債は2.36%と逆イールドが再び顕在化してきた。

外為市場では、人民元がジワリと危機ライン1ドル=7人民元に接近中。

商品市場では、原油の下げっぷりが目立つ。米中通商摩擦由来の需要減観測に米国在庫増が加わり、WTIは5%程度の急落を演じた。中東緊迫の強い買い材料をかかえているにもかかわらず、これほどの下げ幅を見せることに市場は驚きを隠せない。安全資産の金は再び買いなおされ10ドル幅で反騰中だ。

今後、市場を刺激しそうなことは、米中国内での愛国心をあおるごとき言動だ。米国側では、そもそも「中国たたき」は民主党のお家芸。たたけば票を稼げるだけに、超党派議員による発言が目立つ。

消費者も、いよいよ貿易戦争の痛みを実感し始める時期だ。25%追加関税発動後に出荷された中国製ベビー用品がそろそろ米国に到着すれば、米国のママさんたちも、価格転嫁を痛感するだろう。サプライチェーンは複雑化して、他国製品、自国製品での代替は容易ではない。

ファーウエイ排除の影響も、対象商品がスマホだけに、消費者を直撃する。中国側も天安門事件30年関連行事を控え、愛国心が刺激されやすい状況だ。米国製品やハリウッドなどの米国文化を狙い撃ちしたボイコットなどが火種となりかねない。

ファーウエイ問題は、ハイテク覇権に関わることゆえ、絶対に譲れない。

「今年は5月も6月も売りか」。市場心理悪化を嘆く声がウォール街から流れてくる。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org

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