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東北の地銀、総資金利ざや9行低下 2行逆ざや

地銀決算を読む

東北6県の地方銀行13行・グループの2019年3月期決算をみると、本業である融資などから得る資金利益は山形銀行を除いて減益となった。超低金利で主な収益源の貸出金利息が落ち込んだためだ。多くの銀行は貸出金利回りが下げ止まっていない。既存の融資も借り換えで金利の下げ圧力が強まっており、資金利益を押し下げている。

銀行の収益力を示す「総資金利ざや」は貸出金利息や有価証券利息などの運用利回りから、預金利息などの調達利回りを差し引いた数値。ホールディングス傘下行含めた15行中、9行が低下した。最も高い北日本銀行は前の期から0.01ポイント改善し、0.19%だった。

最も低い福島銀行は0.11ポイント低下し、マイナス0.09%だった。総資金利ざやがマイナスとなる「逆ざや」は運用するほど赤字になる。大東銀行も逆ざやだった。有価証券利回りは上昇したが、貸出金利回りが下がり続けていることが大きい。本業の融資で稼ぐことができず、連結ベースでは11行・グループが最終減益となった。「ゼロ金利政策が続いている以上、増収・増益の実現は至難の業」(鈴木孝雄社長)との声が漏れる。

日銀によるマイナス金利政策の出口が見通せないなか、当初の想定以上に超低金利が長引くことを覚悟する地銀トップは少なくない。岩手銀行の田口幸雄頭取は「金融緩和の進展で貸出金利は相変わらず低下し、なかなか歯止めがかからない」と話す。今の環境で金利を引き上げるのは「極めて厳しい状況」という。

一方、貸出金残高は全体で2%程度伸ばした。高い金利が見込める中小企業向けの貸し出しを増やすことで、利息収入を底上げする狙い。ただ、「ミドルリスク」と呼ばれる比較的信用力の低い企業向けの融資を増やすことには懸念もある。

過度なリスクを取ることは将来的に経営体力を弱める恐れが出てくるからだ。貸出先の経営状況の変化に応じて審査などリスク管理体制を見直すことが求められる。

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