2019年8月17日(土)

大学「殻」破り積極交流 企業へ橋渡し、専門組織も
研究者のまち 横浜

大学
2019/5/23 22:00
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横浜市内などにある大学のキャンパスは比較的広い敷地を生かし、理系の学部や大学院、研究機関などが多い。かつては研究者は大学の「殻」に閉じこもり、他大学や企業などとの連携は少なかった。だが、最近は大学や企業が集積している地域特性を生かして外部と積極的に連携する大学が増え、それが研究の向上や地域の活性化につながっている。

横浜国立大と横浜市立大は1月、共同で進めていた新生児の黄疸(おうだん)に関する研究で、小型光学センサーの開発に成功したと発表した。黄疸は感染症の合併などで重い後遺症が残ることもある。増えると黄疸になるビリルビンの濃度を計測する必要があり、現在は血液検査などで測定している。新装置は小型化したセンサーを体に装着するだけでデータを得ることができる。

横浜市立大は産学連携で研究を強化する(同大学の研究施設)

横浜市立大は産学連携で研究を強化する(同大学の研究施設)

両大学はほかに、男性の不妊治療などでも共同研究を進めている。各研究室が参加し、発表や交流をする「ナノテク交流シンポジウム」も双方の大学で交互に開催し、連携を深めている。

横浜市内では大学同士が交流する場も多い。2005年に立ち上げられた「大学・都市パートナーシップ協議会」には、市内と周辺の28大学と市が参加する。年1度の代表者会議の際には、学生や教授らが研究内容を紹介・交流し、連携の糸口になっている。「海洋都市横浜うみ協議会」は神奈川大など大学のほか、海洋研究開発機構(JAMSTEC)や日本郵船なども参加し、産業振興や人材育成に取り組む。

研究成果を生かすため企業との産学連携にも力を入れ、そのための専門機関を学内に設ける大学も出てきている。横浜市立大は4月、研究・産学連携推進センターを開設した。学内でバラバラに活動していた会議体や部署を1カ所に集め、研究者と企業とのマッチング支援などに取り組む。同大学はこれまでも、日産との産学連携など地域企業の開発サポートに取り組んできた。

企業との連携と並行して、URA(ユニバーシティ・リサーチ・アドミニストレーター)という研究資金の調達を支援する専門職を設けた。補助金制度の紹介や公募研究の応募書類作成を助ける。「研究費の心配をせず研究に没頭できる環境をつくる」(渡辺昇研究推進部長)ことを目指す。

横浜市は政令指定都市の中で研究者・技術者が最も多いが、全国では研究者の数は減っている。総務省の国勢調査によると、15年時点での研究者数は、10年前に比べ2割以上減った。研究とともに教育が大きな役割である大学にとり、研究者育成が急務となっている。

神奈川県藤沢市に本部がある湘南工科大は、学内に人工知能(AI)や仮想現実(VR)を専門に研究するセンターを開設。最先端の研究に集中できる環境を整えることで、研究者の道に進む人を増やそうとしている。

特定の地域に大学が集積しているのが、横浜の強みだ。研究者はその利点も生かして成果を出し、世界や地域に貢献しようとしている。

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