米国、ファーウェイ製禁止要請か 5G基地局で韓国に - 日本経済新聞
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米国、ファーウェイ製禁止要請か 5G基地局で韓国に

【ソウル=山田健一】23日付の韓国紙・朝鮮日報は、米国政府が韓国政府に対し、中国華為技術(ファーウェイ)製の次世代高速通信規格「5G」の基地局を韓国で使用しないよう要請したと報じた。事実なら、通商問題をめぐる米中両国の溝が深まる中、米国が強硬姿勢を一段と強めたことになる。韓国では移動通信3位のLGユープラスがファーウェイの基地局を使っており、同社の株価は23日の韓国市場で急落した。

朝鮮日報によると、米政府は「ファーウェイの製品が韓国の5G網に使われれば安全保障上の懸念が生じる」と韓国外務省に複数回にわたって伝え「韓国が同盟国として米国の政策に積極的に協力するよう求めた」という。米国務省の関係者がLGユープラスの社名を挙げて「最終的にはファーウェイ製品を韓国からすべて無くす必要がある」と述べたとも報じた。

報道を受け、韓国外務省は23日「確認できることはない」とのコメントを発表した。その上で「韓国は、米国が5G設備のセキュリティーの重要性を強調していることを認識しながら米側と協議を続けている」と説明。報道内容を否定せず米国から要請があったことを示唆した。LG社の関係者は「状況を注視している」と語った。

米国は日本や英国などの同盟国・友好国に5G網のなかにファーウェイの基地局を組み込まないよう求めている。だが、韓国に関しては北朝鮮の核・ミサイル問題で連携する立場を考慮してか、4月にLGユープラスがスマートフォン(スマホ)向けの5Gサービスを開始するのを「黙認」してきた。

LGユープラスは5G網を構築する基地局の多くをファーウェイに依存しているもようだ。韓国移動通信最大手のSKテレコムや同2位のKTが韓国サムスン電子やフィンランドのノキアなどの基地局を使うなか、LG社がファーウェイと取引するのはLGグループの中国事業の拡大を見据え、中国政府の心証を良くしておきたいとの思惑があったとされる。

通信業界に詳しい韓国のアナリストは「仮にファーウェイの基地局を使えなくなれば、LGユープラスが受ける打撃は計り知れない」と話す。サムスンの基地局などで代替することになるが、基地局間の互換性の確認など信頼を担保するために膨大な作業が見込まれる。SKやKTより遅れ気味とされる5G網の整備で差がつく恐れがあり、23日のLGユープラス株は前日比6%強下落した。

韓国は輸出の約4分の1を占める中国に対する経済の依存比率が高い。このため、韓国政府としても簡単に米政府の要請を聞きづらい立場にある。一部の地元メディアは「地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)問題の時のように、韓国は米中両国に挟まれて難しい対応を迫られることになるだろう」と予測する。

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