TSMC「米製造装置の算入不要」ファーウェイ制裁で - 日本経済新聞
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TSMC「米製造装置の算入不要」ファーウェイ制裁で

出荷継続を表明、ファーウェイ離れに一定の歯止めも

【新竹=伊原健作】半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は23日、トランプ米政権の制裁を受けた中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)に出荷を続けると表明した。TSMCは「製造装置の算入が不要との専門家の意見を得た」と説明し、米の禁輸措置に該当しないとの考えを示した。

TSMCは23日に台湾北部・新竹市内で技術関連のシンポジウムを開き、広報責任者の孫又文氏らが記者団の取材に応じた。16日に発効した米の対ファーウェイ制裁では、米国由来の技術などの市場価値が製品全体の25%超なら事実上の禁輸対象になるとされる。「米のトップ法律事務所から徹底したレビューを受け、出荷に大きな変更は不要と判断した」という。

法律事務所からは、米輸出規制に関する「一般慣行」に基づき、米由来の価値が基準に達するかを算定する上で製造装置を含める必要はないとの意見を得たという。

開発で使われる知的財産や材料などは算入対象になるが、製造装置をいれない場合は「25%に届かず、まだ距離がある」(孫氏)とした。高度な半導体の製造でアプライドマテリアルズ(AMAT)など米企業の装置は不可欠とされ、装置の除外が判断に影響したようだ。

TSMCはファーウェイ傘下の海思半導体(ハイシリコン)が開発した半導体を受託生産している。ハイシリコンはスマートフォン(スマホ)の中核半導体の基盤技術を英アーム・ホールディングスに頼っており、アームは米制裁を受けファーウェイ側との取引停止を示唆した。製品開発に支障が出れば米インテル、韓国サムスン電子とともに半導体の「ビッグ3」と呼ばれるTSMCの受注への影響は必至だ。

ファーウェイとの取引を巡っては、アームとは違い、半導体製品を供給する韓国のSKハイニックスやソニーなどは出荷を継続しているもよう。

TSMCは対応について米商務省に直接問い合わせてはいない。ただ同社関係者は「全てを規制すれば米装置メーカーは甚大な悪影響を受ける」とし、製造サイドへの締め付けが強まる可能性は低いとの見方を示した。

一方、日本でファーウェイのスマホ新製品の発売が延期されるなど影響は広がり、出荷を継続できても需要自体が減退する恐れがある。TSMCは売上高のうち1割弱をハイシリコン向けが占めるとされる。孫氏は下半期(7~12月)の事業見通しについて、「半導体業界にディスラプション(分断)が生じてしまい、見通しにくい」と述べた。

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