2019年8月20日(火)

米欧、自動車で攻防続く 閣僚会談で着地点見えず

貿易摩擦
2019/5/24 2:00
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【パリ=竹内康雄】米国と欧州連合(EU)の閣僚が22日に会談した。トランプ米大統領が日欧などの自動車を対象にした追加関税をめぐる判断を延長すると発表してから初の会談。工業品で関税を引き下げたいEUと、農産品で攻め込んで自動車産業を保護したい米国の相違が鮮明になった。判断の延長期間は最大で180日間。関税で本格的な攻防が始まるが、着地点は見えない。

「関税交渉を始めるにはまだ時間がかかるだろう」。22日、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表との会談を終えたマルムストローム欧州委員(通商担当)は記者団にこう語った。その理由は交渉体制で「米国側は準備ができていないようだ」と述べた。米欧は2018年7月の首脳会談で貿易協議入りを合意していた。

今回の米欧閣僚会談は経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会にあわせてパリで開かれた。同行した関係者によれば、マルムストローム氏は「EUの自動車輸出は米国の安全保障上の脅威ではない」と訴えたうえで、EUの交渉方針を説明したという。

世耕弘成経済産業相も23日「同盟国の日本の輸出が米国の脅威になることはない」とライトハイザー氏に伝えた。

EU各国は4月、執行機関である欧州委員会に米国と通商交渉する権限を認めた。EUは米国と5月中旬に実務者協議を開いた。関係者によるとすでに双方の対立がはっきりしていた。

欧州委に認められた権限は工業品の関税削減などに限られ、トランプ政権が重視する農産品は含まれない。フランスなどの農業国が欧州議会選を前に反対したからだ。米国が交渉で農産品を持ち出しても、権限のない欧州委は具体的な内容を協議できない。

農業で攻め込まれると厳しいEUは、日本と同様に米国側に乗用車やトラックの関税下げを求めた。18年のEUの対米乗用車輸出は116万台。トランプ政権は台数が多いと問題視し、欧州車の輸出増につながるような関税引き下げには慎重だ。双方の関心には大きなずれがある。EUは今回の閣僚会談を受け、27日に各国の担当閣僚が対応策を協議する。

日米欧の通商閣僚は23日、世界貿易機関(WTO)改革などを議論し、中国を念頭に産業補助金の削減に向けた規制の強化で一致し、電子商取引のルール整備の推進でも合意した。対中で足並みはそろうものの、関税では日欧と米国の対立の構図になる。

米国への自動車輸出が多く、農業を保護する日欧は立場が近い。自由貿易体制を守りながら、米国との関係悪化を避け、軟着陸させる解はなかなか見つからない。

米国では自動車や、中国産の日用品の関税引き上げに国内から物価上昇を招くと批判が起きている。「大統領が国内の声を聞いてくれれば良いが……」(EU関係者)との声もある。6月下旬には日本で開く20カ国・地域(G20)首脳会議の場で、日米、米EUの首脳会談も想定される。延長された180日間の攻防が徐々に激しくなる。

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