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中家徹・全国農業協同組合中央会会長の講評

2019/5/27 2:00
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安心で安全な食べ物をどう確保するかについて、たくさんの素晴らしいアイデアをいただきました。食の問題に大勢の方が関心を持ってくれているのはありがたいことです。「小学校での農業」は一番現実味があると思います。私たちも食育に取り組んでいますが、授業の中にもっと農業も組み入れてほしいと思っています。

全国農業協同組合中央会の中家徹会長

全国農業協同組合中央会の中家徹会長

私が子どものころ農業はずっと身近な仕事でした。自分は農家の長男で、学校から帰ったら、勉強より先に農作業を手伝いました。そういうことが、教室でごく普通に話題になり、農業について共通認識を持つことができました。「もうすぐ収穫祭が始まる」といったことをみんな知っていました。ところが最近は農家の子どもでさえ、農業のことをあまり知りません。

だからこそ、学校で子どもたちに作物の栽培を体験してもらいたいのです。たんに作物の育て方を知るだけではありません。土に触れることは、情操教育にもつながります。作物を枯らしてしまうと、「申しわけない」という気持ちが自然にわきます。農業には教育的な効果があるのです。

「プレミアム農業デー」も農業体験のすすめですが、こちらは対象が社会人です。農業と関係ない仕事をしていても、農作業をやってみたいと思っている人は多いのではないでしょうか。実際に体験してもらえば意外な新鮮さを発見し、もっと農業に関心を持ってもらえると思います。

思いもよらないアイデアだったのが、「5G体験プログラム」です。実際には農村に行かず、ロボットで疑似的に農作業をする。昔と比べ、消費地と生産地が離れてしまっています。今回いただいた提案の多くは、両者の距離をいかに近づけるかという問題意識で共通していました。直接土には触れなくても、まず農業に親しみを感じることで、次のステップとして農村に行くことにもつながるでしょう。

◇――――――――◇

寄せられたアイデアに具体的には書かれていませんが、食べ物を「国産で」確保することが前提になっています。新興国の所得向上と世界の人口増加で食料需要が増えることを考えれば、一定量を国内でまかなえるようにしておくことは当然の措置と言えるでしょう。そのために消費者と農村の距離を縮めることには、とても大きな意義があります。技術開発も生産性の向上も、農業の未来への希望があってこそです。消費者の応援は、農家がモチベーションを高めることにもつながるでしょう。(編集委員 吉田忠則)

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