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巨大投資家、農林中金の苦悩 ドル調達コスト上昇
19年3月期最終、30%減益

金融機関
2019/5/22 20:00
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農林中央金庫の資産運用が難路に差しかかっている。22日に発表した2019年3月期の連結決算は、純利益が1035億円と前の期比で30%減った。運用先の5割超が米ドル建て資産のため、ドル調達コストの上昇が直撃した。105兆円の総資産を抱える巨大投資家の苦悩は、市場部門の逆風に直面する邦銀に共通する課題を浮き彫りにしている。

「減益要因はひとえに米国の段階的な利上げ、外貨調達コストの上昇に尽きる」。農林中金の奥和登理事長は22日の決算会見でこう話した。最終減益は16年3月期から4期連続だ。

農林中金の運用資産は54%がドル建てだ。米連邦準備理事会(FRB)が利上げを開始した15年12月以降、手元の円資金をドルに替えて運用する際のコストが上昇した。単体の外貨調達利回りは前期に1.95%と前の期比0.78ポイント上昇、調達コストは8250億円と3千億円弱増えた。

格付けの低い企業への融資を束ねて証券化したローン担保証券(CLO)などの積み増しで運用利回りの確保を狙うが、調達コストの上昇に打ち消されてしまう。

FRBが年内の利上げ停止を表明したことで、米金利は2月以降に低下。奥理事長は外貨調達コストについて「少し落ち着くと思う」としながらも「イールドハンティングという環境で運用が(特定資産に)集中し、利回り自体が低下している」と懸念を示した。

運用資産の4割弱は外国債券だ。16年の米大統領選でトランプ氏が勝利したことをきっかけに財政拡張懸念から米長期金利が上昇(債券価格は下落)し、近年は外債の含み損益が悪化していた。足元の金利低下で損益は改善しているが、「(先行きは)景気やインフレ次第。しっかり準備したい」(奥理事長)と楽観視はできないとの考えを示した。

市場運用の厳しさは邦銀に共通する。3メガ銀行など大手銀5グループの前期決算は、米国債の含み損処理などで傘下銀行合計の国債等債券損益が計738億円のマイナスとなり、損失額は前の期から600億円弱拡大した。連結純利益が計2兆449億円と前の期から24%減ったのも、市場部門の不振が大きい。

農林中金は全国の農協や都道府県単位の連合会(信連)から余剰資金を預かり、運用益を「奨励金」と呼ばれる預金金利で還元している。金融緩和によるカネ余りでJAバンクグループからの預金は膨張し続けており、前期末は約67兆8千億円と1年で1%増えた。

農林中金は調達が事実上、円に縛られるため、外貨預金の調達先がある三菱UFJフィナンシャル・グループなどのメガ銀と比べても、市場運用は外貨調達コストに左右されやすい。

店舗削減や採用抑制に動くメガ銀と同様、農林中金も構造改革を迫られている。奨励金は19年春から3年間で従来の年0.6%程度から0.1~0.2%圧縮する方向で動き始めた。

奨励金の改革は信連などへの預金金利を自由化した1992年以来だ。08年のリーマン・ショック後に1兆9千億円の増資を信連などに頼った関係で改革が遅れていたが、聖域に切り込まざるを得なくなった。

23年度までに業務の効率化などで従業員600人分の業務を削減するほか、事務の自動化やペーパーレス化でJAバンクグループの3割超の事務量を削減する。信用事業(銀行業務)に関わる約5万人のうち1万人程度を店舗から農業金融などにシフトさせ、JAバンクの効率化や貸し出し増に向けた体制づくりを急いでいる。(広瀬洋平)

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