2019年7月16日(火)

ソニー「現金生む力」重視 ゲーム・半導体に積極投資

エレクトロニクス
2019/5/21 22:21
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ソニーが投資や株主還元の原資となるキャッシュ(現金)を生み出す能力を一段と重視する。2021年3月期までの3年間に本業が生み出す現金収支(金融除く)を2兆2000億円以上と、前期の3年間に比べて5割増やす計画だ。稼いだキャッシュはゲームや半導体など競争力の高い事業の強化に充てる。一方、新たな成長分野の発掘は道半ばで、株価は一進一退が続いている。

ソニーが21日、都内で開いた経営方針説明会。吉田憲一郎社長が昨年5月に発表した21年3月期までの中期経営計画の進捗を説明する場だった。

ソニーはこれに先立つ4月下旬、中計の最終年度の事業別の営業利益目標を取り下げていた。「ともすれば経営を短期視点にしてしまうリスクがある」。吉田社長は21日、真意をこう説明した。

その代わりに、3年間累計の営業キャッシュフロー(CF、営業活動で生じる現金収支)の目標額を上方修正することを改めて強調。従来から2000億円引き上げ、2兆2000億円以上の創出を見込む。

キャッシュの創出は安定的に稼ぐエレキ部門や、ネットを通じたソフトウエア販売が伸びるゲームなどがけん引する。これを原資に、成長余地の大きい2つの分野に積極投資する。

第1に、世界で圧倒的なシェアを握る画像センサーだ。21年3月期までの3年間で最大7000億円を設備投資に投じる。当初想定から2000億円積み増す。8割を占めるスマートフォン(スマホ)向けだけでなく、車載向けも強化する。

第2に、エンターテインメント分野だ。20年以降に発売する主力の家庭用ゲーム機「プレイステーション4」の次世代機について「飛躍的なスピード向上を図る」と説明。シーンの切り替えにかかる時間が従来の10分の1程度になり、キャラクターの高速移動を実現する。17日に発表した米マイクロソフトとの協業を通じ、クラウドサービスを活用した市場の取り込みも図る。

吉田社長は昨年4月、平井一夫前社長からバトンを引き継いだ。前任の最高財務責任者(CFO)時代から手腕に定評があり、ソニーの「復活」の立役者の一人だ。

なぜ、成長戦略の指標を利益からCFにシフトしたのか。利益目標は一時的なコストの削減や子会社の株式売却益の計上などで、「表面的な達成」が可能な数値でもある。本業でキャッシュをきちんと稼げているかというCFのほうが真の実力を示すほか、「吉田ソニー」の独自色にもつながりそうだ。

一方、ソニーの株価は吉田氏の就任以降、一進一退が続く。株価は18年9月に6973円まで上昇したが、その後は米中貿易摩擦やスマホ市場の減速で下落。21日の終値は5610円と昨年高値から2割安の水準だ。

経営方針を説明した21日の取引時間中に、ソニー株は前日比5%安まで売られる場面もあった。市場では「新しい数字や成長戦略を期待していたが、それがなかったことや米中摩擦への懸念が引き続き残っていることも影響した」(国内証券)との声もあった。

ソニーは画像センサーを中国・華為技術(ファーウェイ)向けにも供給しており、米国による事実上の輸出禁止規制の影響が指摘される。吉田社長は「取引先や規制、政策についてのコメントは差し控える」と述べるにとどめた。

ソニーが4月下旬に発表した19年3月期の連結営業利益(米国会計基準)は、2年連続で最高益を更新した。一方、20年3月期は前期比9%減の8100億円を見込む。利益水準はなお高いが、市場の期待のハードルは上がっている。

マイクロソフトとの協業など新たな成長の芽も見え始める中、「次」の姿を鮮明に描き出す能力が求められている。

(岩戸寿、丸山大介)

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