2019年6月17日(月)

関西から日韓友好を 駐大阪韓国総領事 呉泰奎さん
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関西
2019/5/22 7:01
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■日本企業に元徴用工への損害賠償を命じた韓国大法院(最高裁)判決や旧日本軍の従軍慰安婦問題などを巡り、日韓関係は「最悪期」ともいわれる。韓国紙の記者出身で、昨年4月に駐大阪韓国総領事として赴任した呉泰奎(オ・テギュ)さん(59)は、歴史的に韓国と深いつながりがある関西から友好を発信しようと呼び掛ける。

慶応大に留学したり、特派員として東京に駐在したりしたが、関西に住むのは初めて。形式より中身を重視し、個性豊かで行動力がある関西の人々は韓国人に似ていると感じる。オープンマインドでコミュニケーション力がある関西の気質は、国際化時代の価値観にも合っていると思う。

この1年で印象に残ったのは大阪市生野区のコリアタウン。渡来人とゆかりの深い御幸森天神宮があり、古くからの在日韓国人が多く住む一方で、来日間もない韓国人や韓国文化に興味がある日本の若者も共生している。日韓の過去・現在・未来を象徴する共生の街だ。

■文在寅(ムン・ジェイン)政権で、従軍慰安婦問題に関する2015年日韓合意を検証する作業部会の委員長を務めた。「被害者が受け入れないかぎり、政府間で慰安婦問題の最終的・不可逆的解決を宣言しても、問題は再燃されるほかない」とする報告書を17年12月にまとめた。

作業部会の目的は日本を批判することではなく、韓国政府の交渉過程を検証することだった。こうした問題では被害者の観点が大事で、政府が「これで全部終わり」というのはおかしい。歴史問題は長い目で見ながら、経済や文化などほかの分野で協力を進めるのがいい。

例えば自然災害が起きたときに協力し合える態勢づくり。日本で南海トラフ地震が起きた場合に、一番助けやすい国が韓国だ。物資の支援や企業のサプライチェーンの確保など、事前に準備するのが大事。一方で環境問題や少子高齢化問題は韓国が日本から学ぶことがたくさんある。

■6月に大阪で開催される20カ国・地域(G20)首脳会議で文在寅大統領が来阪する見通し。韓国大統領が大阪に滞在すれば金大中氏以来21年ぶりとなる。

日韓がぎくしゃくしており、関係改善のきっかけにしたいと願っている。特に関西は昔から韓国とゆかりがある土地なので、ここから友好を発信するのが一番だ。関西に住んでいる人も応援してほしい。

文大統領は街を歩きながら一般の人と写真撮影するなど、韓国では優しいイメージがある。日本では強硬派と見られているようなので、本来の姿を知ってもらいたい。

週末に寺社などを訪れるのが楽しみ(2018年5月、京都市の妙心寺)

週末に寺社などを訪れるのが楽しみ(2018年5月、京都市の妙心寺)

■関西国際空港から入国する訪日客のなかで、韓国人は中国に次いで多い。

食べ物がおいしく、京都や奈良といった見どころも多いのに加えて、大阪の雰囲気は釜山などに似ており韓国人にとって居心地がいいのだと思う。

ただ、昨年の関西は地震や台風などの自然災害が続き、交通機関の状況が分からず困った韓国人観光客も多かった。英語や中国語と比べ韓国語による案内は少ない。災害時などの多言語対応の体制を整えてほしい。

10年前は日韓政府の関係がこじれれば民間レベルも冷え込んでいたが、最近は変わってきたと感じる。韓国の大学街には和食の店がたくさんあり、日本のアニメやドラマが好きな若者も多い。新聞やテレビで情報を得る我々とは違い、若者はインスタグラムやユーチューブで好きなものを見つけており、まるで別の世界に住んでいるようだ。日韓の冷え込んだ関係を改善するには、若者の交流を促進するのが一番ではないか。

(覧具雄人)

オ・テギュ 1960年生まれ。84年ソウル大政治学科卒。韓国日報の記者を経て、88年に革新系のハンギョレ新聞の創刊に参加。2014年論説委員室長。18年4月、第18代駐大阪大韓民国総領事に就任した。

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