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育成の星、なお発展途上 ソフトバンク・千賀滉大(下)

多くの選手は野心と大志に燃えてプロの世界に飛び込む。千賀滉大は違った。「俺、何しにここに来たんだろう、って。(育成選手の)契約期限の3年で終わると思っていました」

中学までは軟式野球。愛知県立蒲郡高で始めた硬式も部活の域を出なかった。3年時、プロのスカウトが来るようになっても「何を見に来ているんだろう」と不思議に思った。

ソフトバンクはドラフト間際に千賀の存在を知った。当時のスカウト部長で現2軍監督の小川一夫は回顧する。「信頼する愛知のスポーツ店の店主が『いい投手がいる』というので見に行った。関節が柔らかく140キロを超える。育成選手で指名したが、あふれる素材感は、正規のドラフトでもおかしくなかった」

「自分の中ではまだやり切ったと思える年がない」と話す=共同

そんな評価を本人は知るよしもない。同期は柳田悠岐、甲斐拓也、牧原大成ら。「皆、何をしてもすごい。取りえのない自分は(練習を)やるしかなかった」。負けん気に火が付いた。

小川たちの見立ては正しかった。本格的なトレーニングに取り組むと球速はあっという間に150キロを超え、2年目には支配下枠を勝ち取った。フォークボールを覚えた3年目には中継ぎとして1軍で大活躍。51登板で防御率2.40の好成績で球宴にも選ばれた。

その後は志願して先発に転向。2018年に育成出身初の開幕投手を務め、16年から3年連続の2桁勝利を挙げた。ただ、並外れた出力は故障のリスクと隣り合わせ。昨季も離脱を繰り返した。「自分の中ではまだやり切ったと思える年がない。今季はタイトルに絡みたい」。強度を増した肉体でシーズンを完走できれば、沢村賞も見えてくる。

大リーグ入り熱望、オフに社長に直訴

日本屈指の投手に成長した千賀が熱望する次のステージが米大リーグだ。きっかけは日本代表の一員として優秀選手に選ばれた17年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。メジャーの選手を目の当たりにし「この人たちは種類が違うな、と。この中に自分をおいたらどうなるんだろうと興味が湧いた」。

だがフリーエージェントの権利を得るのはしばらく先。移籍で得られる資金を必要とせず、「世界一のチーム」を目標に掲げるソフトバンクはポスティングを認めていない。それでも希望を公言し、オフに社長に直訴したほど思いは強い。

「新しいトレーニングはこのオフから始めたばかりで成長段階。実を結ぶのはこれからですよ」と千賀。「育成の星」はこの先どこまで大きくなるか。本人ならずとも興味は尽きない。=敬称略

(吉野浩一郎)

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