2019年7月24日(水)

米市場にマネー流入加速 対中貿易戦争でも景気拡大

北米
2019/5/20 19:00
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【ニューヨーク=後藤達也】米国と中国の金融市場で、両国の貿易戦争を巡る反応の違いが鮮明になってきた。米国は内需主導の景気拡大に期待が強く、株式市場やドルへの資金流入が加速し始めた。一方、中国景気の先行きには懸念が深く、株価や人民元の相場は軟調だ。米中の首脳は市場の動きに敏感で、足元の非対称性が続けば、通商交渉にも影響しそうだ。

米中の首脳は市場の動きに敏感(2017年11月、北京)=共同

外国為替市場では再びドル相場を押し上げる圧力が強まっている。米インターコンチネンタル取引所によると、総合的なドルの価値を示すドル指数は17日には98.01に高まり、年初来の高水準(98.33)に迫った。米景気の拡大を示す経済指標の発表が相次ぎ、ドル買い資金が流入している。

トランプ米政権が繰り出す対中制裁関税の発動は米景気にマイナスの側面もある。輸入価格が上昇すれば消費者の負担が増す。中国景気の減速を促せば、対中輸出の採算が悪化する。だが、米国内では雇用や賃金が伸びており、内需は堅調だ。

米コンファレンス・ボードのギャド・レバノン氏は「関税引き上げが米国内総生産(GDP)を下押しする割合はせいぜい(年率)0.2~0.3ポイント」と指摘する。市場では米景気が当面、年2%台の成長を続けるという見方が多い。日欧などの先進国と比べても堅調さが際立ち、マネーが米国に向かっている。

一方、中国の人民元相場は下げ足を速める。対ドルでは5月初めから3%近く下落し、足元では1ドル=6.9元台と2018年秋以来の低水準になった。2008年の金融危機時の水準に近づく。貿易や投資で対中関係が深い東南アジアなどほかの新興国の通貨にも軒並み下げ圧力がかかる。

背景には中国の景気減速に伴う資本流出の懸念がある。国際金融協会(IIF)によると17日までの1週間で中国株から27億ドル(約3千億円)分の資金が流出した。1週間の流出額とすれば15年7月以来の大きさだ。生産や輸出の拠点としての中国の優位が低下するとの観測が強い。

人民元安は輸出競争力を高めるため、中国当局はいまのところ容認しているもようだ。だが、人民元相場が急に下落すれば輸入物価の上昇や資本流出の加速につながりかねない。

株価でも米中市場の動きは対照的だ。米国のダウ工業株30種平均はトランプ政権が2000億ドル分の中国製品への関税を10%から25%に引き上げると表明した5日以降、一時4%強下がったが、先週後半には下落分の半分ほどを回復した。

一方、中国株は5日以降、20日時点でも7%以上下落し、買い注文が少ない状況が続いている。

市場の反応の差が通商協議に影響する可能性も指摘される。米国野村証券の雨宮愛知氏は「仮に18年後半のように米国株が大きく下がれば米政府も強気の姿勢を保ちにくくなる」と予想していたが、米市場の株安懸念は後退している。トランプ政権が堅調な米国の景気と株価を背景に、中国への強硬な姿勢を続ける可能性も指摘されている。

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