2019年6月20日(木)

デンソー、愛三工業の筆頭株主に CASE対応で効率化急ぐ

自動車・機械
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2019/5/20 17:12
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デンソーは20日、愛三工業の出資比率を現在の8.7%から約38%に引き上げ、持ち分法適用会社にすると発表した。両社は同じエンジン関連部品を手掛けており、デンソーは重複する事業の一部を愛三工業に譲渡することも検討する。両社に出資するトヨタ自動車はグループ全体で電動化などを指す「CASE」分野への投資を増やしており、開発や生産体制の効率化を急ぐ。

愛三工業は燃料ポンプモジュールなどエンジン関連部品が主力で、2019年3月期の連結売上高は2134億円。トヨタ自動車が発行済み株式の28.7%を握る筆頭株主で、販売でもトヨタグループが過半を占める。

デンソーはトヨタが保有する愛三工業の全株式を取得し、筆頭株主となる方向で検討する。愛三工業の時価総額(約410億円)をベースにすると、取得額は約120億円となる見通し。合わせてデンソーのエンジン関連部品事業で燃料ポンプなど一部製品の開発や生産、販売機能を愛三工業に譲渡することも検討し始めた。具体的な協議を進め、19年秋をメドに正式契約の締結を目指す。

デンソーの19年3月期の連結売上高は5兆3627億円で、このうちエンジン関連部品を含む「パワートレイン事業」は1兆2788億円を占める。愛三工業と重複しているのは燃料ポンプのほか、燃料噴射装置や電子スロットルなどこの一部で、両社は今後、譲渡対象などを協議していく。

デンソーはCASEへの投資を増やしており前期の研究開発費は4974億円と、3年前から2割強増えた。先行投資が拡大する中、グループで既存事業で重複する部分を解消し開発や生産で効率化を図る狙いがある。

愛三工業も世界でガソリンエンジン車の廃止の動きが広がり、エンジンを必要としない電気自動車(EV)の普及機運が高まる中、将来の成長戦略をどう描くかが課題だった。中国などで現地の部品メーカーが力を付ける中、「エンジン部品がコモディティー化しつつあり、値下げ圧力が強い」とある幹部は打ち明ける。コスト競争力強化も喫緊の課題となる中、デンソーとの協業の深化に活路を見いだす考えだ。

トヨタグループではCASEでの競争が激しさを増す中、グループで強みを持つ企業に重複事業を集約する「ホーム・アンド・アウェー」という戦略が加速している。トヨタはデンソーに20年4月、ハイブリッド車(HV)などの基幹電子部品を手掛ける広瀬工場(愛知県豊田市)などを移管する計画。さらに豊田通商にはアフリカでの営業機能を1月に移管した。

一方でデンソーやアイシン精機ジェイテクトなど4社は、今春に自動運転の制御技術を開発する新会社を設立。グループの自動車部品メーカーが自律的にグループ再編を進める事例も出始めていた。今回のデンソーの愛三工業もこうしたホーム・アンド・アウェー戦略の一環となり、今後も動きは加速しそうだ。

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