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卒業は20歳と25歳 女性アイドルグループ決断の時

NIKKEI STYLE

HKT48の指原莉乃、欅坂46の長濱ねる…人気女性アイドルグループからの卒業・脱退が止まらない。データを調べると、転機となる時期は20歳前後と25歳前後であることが分かった。その理由や、過去のアイドルとの違いを探った。

2018年12月31日をもって、乃木坂46でセンターを歴代最多の7回務めたエース、西野七瀬が卒業した。19年4月28日には、AKB48グループの顔とも言えるHKT48の指原莉乃が卒業コンサートを開催した。この他にもAKB48の高橋朱里、乃木坂46の衛藤美彩、欅坂46の長濱ねるなど、人気メンバーの卒業・発表が続く。

彼女たちは、いつ卒業を考えるのか。過去半年以内に卒業を決断した主な女性アイドルについて調べると、「20歳前後」と「25歳前後」という2つの大きなタイミングがあるようだ。

では、なぜこの2つの時機に決断するメンバーが多いのか。そこで、16年以降に155人がグループを卒業し、サンプルの多いAKB48グループを調査。また、デビュー8年目に突入し、メンバーの活動が長期化している乃木坂46も合わせて調べた。乃木坂46からは、16年以降に14人が卒業している。

調査で見えたのは、在籍時の実績・活躍が、卒業年齢や在籍期間に大きく影響していること。AKB48グループ内では活躍度合いを図る、2つの基準がある。1つは、シングル曲の表題曲に選抜された回数(姉妹グループに所属するメンバーは、そのグループのシングル曲の表題曲に選抜された回数も対象にカウント)。もう1つは、AKB48シングル選抜総選挙の順位だ。乃木坂46はシングル楽曲披露の際に目立つ位置に立つ「福神」経験を調べた。

20歳前後で第一の決断

AKB48グループの155人の卒業生のうち、シングル選抜0回でかつ総選挙で100位圏外だったメンバーは68人で、4割以上を占める。彼女たちの卒業平均年齢は18.2歳で、平均活動期間は約3年9カ月だった。一方、乃木坂46の卒業生14人中、福神経験のないメンバーは7人。その卒業時の平均年齢は21.3歳だった。

思うような結果を残せなかったメンバーにとって、20歳前後という年齢は大きな決断の時期になっているようだ。卒業理由を見ると、20歳以前に卒業したメンバーの卒業理由に多いのは「学業に専念」、20歳以降は「やりたいことを探したい」「一般企業への就職」など。いずれもアイドル活動に見切りをつけ、別の道を模索しているメンバーがほとんどだ。

ちなみに、近年は卒業後の進路として、アナウンサーという選択も目立つ。14年に18歳で乃木坂46を卒業した市來玲奈は18年、日本テレビに入社。18年7月、21歳で乃木坂46としての活動を終えた斎藤ちはるは、19年4月にテレビ朝日に入社し、直後から『羽鳥慎一モーニングショー』のアシスタントに抜てきされている。

活躍組は20歳の壁を突破

一方、AKB48グループを16年以降に卒業したメンバーのうち、総選挙で16位までに入りシングル選抜に選ばれた経験があるのは15人。これは、全体の1割弱だ。彼女たちの平均在籍期間は約9年と極めて長く、卒業時の平均年齢は24.6歳とぐんと上昇する。例えば、高橋みなみ(卒業時25歳/活動期間10年5カ月)、宮澤佐江(同25歳/10年)、北原里英(同26歳/10年2カ月)などがその代表だ。乃木坂46から16年以降に卒業したメンバーで「福神」を経験したのは、西野七瀬、若月佑美ら7人。こちらも平均在籍期間が約6年6カ月、卒業時の平均年齢は24.2歳と延びる傾向にある。

20歳前後という"第一の壁"を越え、実績を積んだメンバーの多くは、18年11月にシンガーソングライターとしての夢を掲げて25歳で卒業した山本彩のように、芸能界での新たなキャリアを目指すことを理由に挙げてグループを卒業する。次のステップに進むための新たな経験を積むには、25歳前後が良いタイミングと考えるようだ。

また、「20歳前後」と「25歳前後」という卒業のタイミングは、今と昔で違いがあるのだろうか。1997年にデビューしたモーニング娘。の動向も調べた。活動初期の卒業メンバーは、24歳で加入した中澤裕子を除くと、10年まではいずれも23歳以下と若く、その7割が在籍期間5年以下だった。

だが、活動の長期化に伴い、25歳前後で卒業するメンバーが現れるようになった。高橋愛は10年1カ月間在籍して25歳で卒業。道重さゆみも11年10カ月間の活動ののち、25歳で卒業した。この他にも新垣里沙と田中れいなが、ともに10年以上在籍し23歳で卒業。最近では、7年2カ月在籍した飯窪春菜が、18年12月に24歳で卒業している。

同じハロー!プロジェクトのグループでも、卒業年齢の上昇が見てとれる。17年の℃-uteは12年間活動、最年長の矢島舞美は解散時25歳だった。スマイレージとしてのデビューから約10年活動した和田彩花は、19年6月に24歳でアンジュルムを卒業する。

ちなみにAKB48グループでは、25歳前後という"第二の壁"を超えるメンバーも増えている。小嶋陽菜は11年以上在籍し、17年に29歳で卒業。小嶋の卒業後、AKB48グループの最年長となったSKE48の松村香織も、19年4月末に29歳で卒業した。

ハロープロジェクトや乃木坂46、AKB48グループに限らず、女性アイドルの"高年齢化"は進んでいる。平均年齢28.3歳のアイドルグループ、prediaは、「対象年齢が30歳以上」「恋愛・既婚者可」という新メンバーオーディションを2月から開催している。さらに、新潟県を中心に活動するNegiccoのNao☆は、31歳の誕生日である4月10日に結婚し、さらにアイドル活動は継続すると発表した。これに対して、ファンからも祝福の声が上がった。見る側の意識にも変化が生まれ始めているようだ。

女性アイドルグループの長寿化に伴い、今後は所属メンバーが「30歳前後」という第三の壁を超え、さらには結婚後も活動を続けるなど、アイドルのあり方がさらに変化していく可能性もある。

(ライター 横田直子)

[日経エンタテインメント! 2019年5月号の記事を再構成]

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