コウナゴ不漁、東北でも深刻 福島は今春ゼロ
東北の沿岸部に春の訪れを告げるコウナゴが今年、深刻な不漁となっている。特に、主力の魚種として頼ってきた福島県では漁獲高がゼロの異常事態。東京電力福島第1原子力発電所事故からの復興を目指す同県の漁業が苦境に立たされている。

コウナゴはイカナゴの稚魚で、煮干しやつくだ煮に加工される。特に関西地方で需要が多い。
福島県によると、不漁の原因は近年の海水温上昇とみられる。コウナゴは夏、砂に潜って休眠するが、このところ秋でも水温が下がりにくく、体力が落ちて産卵する成魚が減った可能性がある。不漁は全国的な傾向で、東北にも及んできた。
福島県沖での漁業は原発事故後、一時全面的に自粛。2012年に魚種や海域を絞った試験操業を開始した。ただ漁獲高は事故前の約2割にとどまる。
このうちコウナゴは減少幅が小さく、漁獲高に占める割合が上昇していた。事故前の10年は9%(8億9千万円)だったが、18年は5億円で全体の22%に当たる。西日本での不漁の影響で高値が付き「もうかる魚」(地元漁師)だった。
主な漁場のある同県相馬市の相馬双葉漁協では、コウナゴの不漁により3月の水揚げが1億2千万円と、18年から2億円以上減少。幹部は「今後も不漁が続く可能性があり、対策を考える必要がある」と顔を曇らせた。〔共同〕