2019年6月25日(火)

ベネズエラ、難民流出が急増 クーデター不発で
20年末に全人口の25%の予測も

中南米
2019/5/18 9:57
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【サンパウロ=外山尚之】ベネズエラで難民や移民として周辺国へ流出する動きが加速している。野党陣営が軍人に蜂起を呼びかける事実上のクーデターが不発に終わり、政権交代への期待が後退したためだ。マドゥロ政権が続く場合、難民・移民は2020年末までに全人口の25%に達するとの予測も出ている。

国境近くのテントで、難民や一時滞在の手続きを待つベネズエラ人(ブラジル北部・パカライマ)

廃棄されたバスで生活するベネズエラ難民(ブラジル北部パカライマ)

「4月までは1日あたり250人程度だったが、今は1000人近くに増えている」。ブラジル北部パカライマ。ブラジル軍の兵士は7日、国境沿いの特設テントの前で、ベネズエラ人を整列させながらこう話した。

国境はベネズエラ政府の意向で10日まで閉鎖されていたが、ベネズエラ軍の兵士に賄賂を払えば誰でも通行できる状態となっていた。パカライマは難民や一時滞在を求めるベネズエラ人であふれかえり、夜になるとテントに収容しきれなかった人々が路上に眠る。

生後11カ月の娘を連れ、親族とブラジルに渡ったアマンダ・ラデホさん(18)は「マドゥロ政権がまだ続くことが分かり、希望が持てなくなった」とため息をつく。ベネズエラでは野党指導者のグアイド国会議長が軍人に蜂起を呼びかけたが、同調する軍人は少なく政権が鎮圧した。国を見限る国民が急増した。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は今月、難民や移民としてベネズエラから370万人が国外に流出しているとの報告書を公表した。米州機構(OAS)は現政権が続く場合、19年末までに国外流出は最大575万人、20年末までに同820万人と予測する。人口3200万人だった同国にとって4人に1人が流出する事態だ。

周辺国はベネズエラ人の流入を受け止めきれずにいる。パカライマのトルクアト市長は「我々の社会、教育、健康は崩壊する」と危機感を強める。同市で学校に通う生徒数は1年半で6割増加。既に全体の3人に1人がベネズエラ人だ。

4人の子供を連れて同市に移住した建設業界で働くアレハンドロ・バティスタさん(30)は「ブラジルでも1日50レアル(約1400円)しか稼げないが、ベネズエラよりはるかにましだ」と話す。

4月時点で126万人と人口の2.5%にあたるベネズエラ人を受け入れているコロンビア政府は難民・移民の流入で19年の財政赤字が国内総生産(GDP)比で0.5%増加すると試算する。

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