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コンビニ値引き、加盟店にまた譲歩 食品ロス負担軽減

定価販売が一般的だった大手コンビニエンスストアが、実質的な値引きの対象を広げる。販売期限が迫った弁当やおにぎりを購入した利用客にポイントで還元する仕組みを導入する。人件費の高騰がフランチャイズチェーン(FC)加盟店の経営を圧迫しており、負担の大きい廃棄を減らす。今春に営業時間の短縮の実験などをしたコンビニが再び加盟店に譲歩を迫られた。

セブン―イレブン・ジャパンは今年秋から全店で、販売期限まで4~5時間に迫った弁当やおにぎり、麺類などの購入客に対し、電子マネー「nanaco(ナナコ)」のポイントを還元する。還元費用は本部側が負担する。

弁当やおにぎりは同社にとって主力商品だ。それらを含む「ファスト・フード」は2019年2月期、チェーン全体の商品売上高のうち約31%を占める。前期比6%増となるなど販売は好調で、粗利率も約36%と全商品(約32%)より高い。

一方、販売期間が限られているため廃棄されやすい。商品を廃棄する場合、セブンイレブンでは廃棄に伴う損失の85%を加盟店側が負い、本部は残る15%を負担する。加盟店にとって廃棄に伴うコストは人件費と並んで重い負担になっている。

セブンイレブンは販売期限が迫った商品でポイントを付与すれば、購入を促す効果があると見込む。商品が売れ残らなければ売り上げが加盟店に入り、加盟店の収益改善につながるとみる。

これまでセブンイレブンは値下げに消極的だった。安易にそれぞれの加盟店が値下げすれば、同じ商品で価格が異なってしまうためだ。だが公正取引委員会は2009年、本部側が加盟店の値引き販売を制限しているとして、独占禁止法に基づいて排除措置命令を出した。セブンイレブンは「価格決定権は加盟店側にある」としているが、加盟店では広がっていなかった。

今回のセブンの動きにとどまらず、他社にも値下げの動きが広がる。

ローソンは17日、ポイント還元の実験を愛媛県と沖縄県の計約450店で始めると発表した。目印のついた商品を夕方以降に購入すれば、導入している共通ポイント「dポイント」「Pontaポイント」を還元する。還元率は税抜き100円につき5ポイントで、原資は本部が負担する。

ローソンは全体の約7割の店舗で店内調理の総菜などで値引きしているという。ただ、値引きの費用の多くは加盟店それぞれの判断で個別に負担してきた。今回は本部が費用を持つポイント還元となり、加盟店の支援策という面が鮮明だ。

加盟店支援の必要性から、食品廃棄の削減はコンビニ各社にとって共通の課題になっている。

ファミリーマートは22年度までに食品の廃棄費用を18年度比1割減にする目標を掲げる。19年度からは、土用の丑(うし)の日に販売するウナギやクリスマスケーキなど季節商品4つを完全予約制に切り替え、店頭には並べない。1店舗当たりの売り上げはそれぞれ2~3割落ち込むとみるが、廃棄が減ることで利益は約4割増えるとみている。

人手不足による人件費の高騰で加盟店の収益環境は厳しくなっている。2月には大阪府東大阪市のセブンのオーナーが営業時間の短縮を強行し、本部と対立した。コンビニ大手は4月、経済産業省の要請に応じ、人手不足対策などを盛り込んだ行動計画を策定した。もっとも行動計画の中で、FC加盟店が本部に支払うロイヤルティーの引き下げを盛り込んだ大手コンビニはなかった。

今回のポイント還元は本部の負担増にはなるが、還元率は数%にとどまり、品目も販売期限の迫った弁当などに限られている。本部にとっては大幅な収益減を避けられる。関東地方の加盟店のオーナーは「ポイント還元は気休めにしかならない」と話した。

(矢尾隆行)

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