2019年6月26日(水)

ソニー成長へ、クラウド補完 米マイクロソフトと提携
サブスクを収益の柱に

ネット・IT
エレクトロニクス
北米
2019/5/18 0:26
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ソニーが米マイクロソフトと提携し、クラウドによる成長戦略にかじを切る。同社が提供するクラウドサービス「アジュール」を使い、ゲームなどのコンテンツや半導体の競争力を高める。マイクロソフトとの提携で手薄だったクラウドを補完し、収益源であるゲームなどのサブスクリプション(継続課金)を伸ばす狙いがあるとみられる。

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ゲーム以外にもクラウドやAIでの提携を検討する(握手するソニーの吉田社長(左)とマイクロソフトのナデラCEO)

ゲーム以外にもクラウドやAIでの提携を検討する(握手するソニーの吉田社長(左)とマイクロソフトのナデラCEO)

17日、ソニーとマイクロソフトはクラウドや人工知能(AI)で提携すると発表した。ソニーの吉田憲一郎社長は「クラウドソリューションの共同開発はコンテンツの進歩に大きく貢献する」とコメントし、提携への期待を強調した。

ソニーがマイクロソフトと提携するのは、コンテンツ配信などに必要なインフラであるクラウドを補強する狙いがある。従来もクラウドでゲームソフトをストリーミング配信する「プレイステーションナウ」を提供しているが、需要拡大に対応するための体制構築が急務だった。米グーグルがクラウドゲームに参入するなど競争は激化。ソニーもゲーム機「プレイステーション4」が好調だが、ゲーム分野の新興勢の台頭に危機感を強めている。

というのもソニーにとってゲームは、本業のもうけを示す連結営業利益の3割を稼ぐ屋台骨だ。ゲーム機「Xbox」を持つマイクロソフトともライバルだが、クラウドゲームが今後急成長するとの見方があるなか、ゲーム配信に必要なインフラ分野での連携は不可欠と判断した。

ソニーがクラウドをいかせる分野はゲームに限らない。ネットワークを使った動画や音楽の配信などに広がる可能性がある。次世代通信規格「5G」の普及を見据え、両社が提携する範囲を「コンテンツ」としたのは、そのためだ。

提携ではAIにも踏み込むが、ここでもクラウドは重要な役割を果たす。マイクロソフトはクラウドを通じ、AIを提供しているためだ。

半導体では画像センサーを共同開発する。現在はスマートフォン(スマホ)向けが中心だが、今後は車載向けの市場が拡大する見通しだ。自動運転向けセンサーは映像などを素早く処理することが求められる可能性がある。AIを搭載したエッジ処理とクラウドの連携は不可欠で、自動車メーカーの需要に応じ、最先端のセンサーの開発を検討する。テレビなどの家電でも協業する方針だ。

ソニーは構造改革で2019年3月期に2年連続で連結営業利益が過去最高となり、復活を遂げた。しかし、その間、米IT大手がソニーが得意としてきたゲームなどの分野に攻め入る体制を整えた。

マイクロソフトとの提携では自前主義にこだわらず、クラウドの技術を効果的に補完する狙いがある。必要であれば競合相手とも手を組む姿勢は、「これからソニーが何で成長するのか」(証券アナリスト)という問いへの答えといえる。

マイクロソフトにもメリットはある。ソニーとの結びつきがあれば、マイクロソフトのクラウドを使ってゲームを開発するソフト会社が集い、競争が激化するクラウドゲームでの陣営づくりにつながる。

異例の協力関係を結んだソニーとマイクロソフト。クラウドゲームの強化という思惑が合致した両社はひとまず大きな青写真のもと、歩み始めることで合意した。具体的な戦略をどう詰めていくのか。競合状況がかつてない速さで変化するなか、その実行力が問われている。

(岩戸寿、シリコンバレー=佐藤浩実)

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