米、車関税判断を180日先送り 日欧との交渉加速指示
【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領は17日、自動車への追加関税を巡る判断を最大180日先延ばしすると発表した。自動車の輸入増加は「米国の安全保障上の脅威だ」と訴え、日本や欧州連合(EU)との貿易交渉を加速するよう米通商代表部(USTR)に指示した。180日以内に合意が得られなければ「追加の行動を取る」とも強調した。

声明は米国の自動車メーカーが技術面で優位を保つことは安全保障の観点からも重要だとして、関税など輸入制限を正当化した。日本とEUを名指しで非難する一方、自動車の対米輸出を巡る具体的な要求事項は盛り込まなかった。
日本と米国は物品貿易協定(TAG)交渉を開始し、自動車や農産品を中心に貿易不均衡の打開策を議論している。5月27日の日米首脳会談を前にトランプ氏は180日と期限を区切り、日本に譲歩を迫った形だ。
トランプ氏はUSTRのライトハイザー代表に対し、追加関税の判断を先延ばしする180日以内に日欧と貿易交渉を進めて解決策を得るよう指示した。期限内に合意できない場合、追加措置を取る意向も示した。
米政権内には日本やEUからの自動車輸出台数に上限を設ける数量規制案がくすぶる。世界貿易機関(WTO)ルールに明確に抵触する数量規制に、日本やEUは強く反発している。
トランプ氏は2018年5月、安全保障を理由に輸入制限を発動する「通商拡大法232条」に基づき、自動車に25%の追加関税を課すことを視野に検討に入った。関税発動の可否を決める期限が18日に迫っていた。